スライドショーで思いを発信しよう:実践の流れ(3)おたがいの考えを交流する

教師の手だてと子どもたちの姿

第4時間目は、次の手順で授業を進めた。 まず、子どもたちが撮影した写真(70枚)を一覧印刷にして、各班に二種類ずつ配布する。
1)前時の復習。P74〜p79(指名読み) ※10分程度
2)昨日撮影した写真をスライドで見る。 ※5分程度
3)学習の見通しを知る。P80〜p83(教師による範読) ※10分程度
4)4行スピーチの原稿を書く。
4)では、次のことが書いてあるワークシートを準備した。
写真を一枚えらんで、なぜ、よいと感じたのか、友達に伝えよう。
4行スピーチの話の組み立て方
)私が選んだのは、○○です。 ※選んだ物を説明する。
)選んだわけは、○○だからです。 ※選んだ理由を説明する。
3) このようなデザインだと、○○な人たちが、○○でしょう。
※使う人のことを言う。
4) ○○してみると、○○だと思います。
ユニバーサルデザインをつくるための工夫
例(選んだ写真 23番 時計)
1)私が選んだのは、バス停の近くにある大きな時計です。
2) 選んだわけは、数字が大きくて、しかも目立つように黄色くしてあるからです。
3) このようなデザインだと、視力の弱い人やお年寄りの人でも、遠くから十分に見ることができるでしょう。
4) 私たちがふだん使っているようなものでも、大きさを変えてみると、新しいユニバーサルデザインができると思います。
4行スピーチによるプレゼンテーション
第5時は、4行スピーチによるプレゼンテーションである。まずは、教科書p80〜p83を音読。
プレゼンテーションでは、「原稿を読まずに相手の目を見る」「張りのある声で話す」「資料を見せながら話す」ということを説明する。
子どもたちは、4行程度なので、あえて原稿を見ないでも、十分に言うことができる。次のような発表の内容であった。
1) ぼくが選んだのは、プールに置いてあった青い車椅子です。
2) 選んだわけは、メッシュの素材だったからです。
3) このようなデザインだと、車椅子の人でも、そのままシャワーをあびることができます。
4) このように、普通とは違う素材にしてみると、新しいユニバーサルデザインができると思います。
子どもたちは、発表を聞きながら次の2点を聞き取ってまとめていく。
1) このデザインは、特にどんな人たちにとって有効なのか。
2) ユニバーサルデザインとして、どのような工夫がなされているか。
この発表会は、なかなか面白かった。練習なしでいきなりスピーチを行うので適度な緊張感があり、雰囲気がよかった。6年生ならではのものだろう。
板書には、次の言葉が残った。
1) お年寄り、小さな子ども、車椅子の人、耳の不自由な人、目の不自由な人、外国の人
2) 高さを変える、大きくする、素材を変える、ピクトグラムをつける、スロープをつける、手すりをつける、かどをとる
子どもたちの自己評価カードには、以下のような内容の文章が書いてあった。
◎  今日は、みんなのスピーチを聞きました。自分の考えだけではなく、みんなの考えを聞くことで、どのような工夫ができるかや、どんな人の役に立つかをたくさん考えられました。
◎  今日は一人一人の発表を聞きながら、「どんな工夫がしてあるか」「どんな人の立場に立っているか」についてメモがたくさん書けた。だから、みんなが考えていることがよく分かった。
◎  みんな、自分の考えをたくさん言っていた。ぼくが思ってもいないことをたくさん言っていてびっくりした。
◎  今日は、自分が気づいていなかったユニバーサルデザインを知ることができてよかった。
◎  今日はスピーチをした。みんな色々な工夫をしていて、なるほど!と思うところがいくつもあった。

「メディア創造力育成」は、ここで!

撮影された写真から必要なものを選ぶという作業は、極めて重要である。映像が、子どもの内言を促していくことになる。映像と言語の往復を促す作業である。また、写真という紙のメディアを使うことで一覧表示がやりやすくなる。これはアナログのよさである。デジタル写真をあえてアナログメディアに出力することによって、子どもは思考を共有することができる。
プレゼンテーションにおいては、あえて4行スピーチという「型」を導入した。「この型」があるから、考えることができるし、全員が書ける。4行スピーチは、スピーチの基本である。メディア創造力を追求する過程において、基礎・基本の力へとつながっていく。
← 前のページ × 閉じる 次のページ →