教師の手だてと子どもたちの姿文章にまとめたところで、ストップをかけ、隣や周りの友だちに読んでもらう時間をとった。カードまとめにかかる時間がそれぞれ違うため、この時間を設定せずに、教師だけの評価にして、書き直しをさせるということが多い。しかし、この読み合いがとても重要な時間となる。友だちのカードを読みながら、実は自分が書いた内容を再確認しているからだ。早く書けてしまった子には、絵を描いて他の子どもたちが文章を書けるまで待っていてもらったが、それぞれ自分の書く力に応じたカードを選んでいたので、文章が書き上がる時間にはそれほどの時差はできなかった。
ただし、友だちのカードを読み取り、アドバイスできる力が身についている子は、この時期まだまだ少ない。そこで、席替えをする際には、なるべく文章力のついている子とまだの子を組ませるように配慮している。 友だちのカードを評価する視点は、子どもたちと話し合いながら、4つ設定した。
1)「生まれたばかりの様子」「大きくなっていく様子」が書かれているか。
その後、教師の評価を受ける。教師のところにもってくるときには、参考にした図書資料なども一緒にもってくるように指示した。本の丸写しでなく自分の言葉で表現しているかを評価するためである。2)分かりにくい言葉はないか。 3)丁寧に書いているか。 4)かなづかいや漢字の間違いはないか。 このような「情報の加工」におけるレベルアップの学習過程として、以下を考えている。これらの視点は、これまでの説明文「いろいろなくちばし」「じどう車くらべ」の学習の際も、評価の視点にしてきている。さすが、この時期には、1と2のレベルの子どもたちはいなかった。
「メディア創造力育成」は、ここで!
この友だちや教師からの指摘を検討する時間が、メディア創造力を育成する授業では、とても重要な役割を果たすことは前述した通りである。これは、「メディア創造力」育成の教師の着目点にある「3」本物(今回は、教科書の文体)に迫る眼を養う4)自分なりの視点を持たせる5)差異やズレを比較し、実感させる9)失敗体験をうまく盛り込む11)メディア創造力を追究する中から基礎・基本への必要性に迫る」に迫る視点であるといえよう。
また、「メディア創造力」の育成において重要な位置を占めると考えている着目点の1つである「6」映像と言語の往復を促す」について、ここで迫ることもできる。教材文を学習する際にも、「目はとじたままってかいてあるけど、ほんとうか見てみたいから、もっと絵を大きくしてください」など子どもたちから出され、デジタル教科書の挿絵を拡大してみんなで納得するということがあった。そういう体験から、挿絵もまた重要な情報源であることを子どもたちは知っている。挿絵や写真からあまり文章を作っている子どもたちがいないときには、再度指導する必要があろう。 こんな子が育った!(2) 学習前の「生き物について知っていること」では,22人中7人も人間について書いていた。学習後は,みんな違ったお気にいりの動物を書くことができた。さらに,2時間の間に3枚のカードを作成する文章力のついた子もいる。 このように文章をチェック後,絵を描くという授業デザインにした。絵と文章はつながっているのであるが,低学年の子どもたちは,絵に力が入り過ぎて文章をなおざりにしてしまうことが往々にしてあるので,まずは文章をしっかり書かせたいとの教師のこだわりからである。 しかし,今回もどうしても絵から描きたいという子どもがおり,それはそれで「文章もしっかり書いてね」と約束をして,認めている。 |
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