教師の手だてと子どもたちの姿第9時間目は、まず、子どもたちはグループ全員の原稿を読み合う。赤鉛筆と定規をもって、それぞれの良い表現に傍線を書いていく。この作業は、案外と時間がかかる。このように、互いの原稿を読み合う作業は、何か目的をもって行うと、子どもたちは実に真剣になる。赤鉛筆による傍線記入を終えた子どもたちは、それらの原稿をもって教師に見せに来る。私は簡単なアドバイスを行うことにした。
たとえば、次のようなことを言う。 「『だから』とか『しかし』『また』といった接続語は、映像と映像をつなぐためにもとても役立ちます。こうした言葉を意識して使ってみてごらんなさい。」 「最後の映像で、何を語りかけると相手に伝わるのか、もっとみんなで考えてみてごらん。」 「あなたたちは何を感じたの?。これを見た人にどう思ってほしいの?」 このあと、子どもたちは、グループみんなで話し合いながら、黄色い原稿用紙に一枚にまとめていく。この作業では、椅子を移動させて、全員が同じ方向で座ることができるようにする。子どもたちは、メンバーの原稿をすべて比較しながら、もっとも良い言葉を選んでいくことになる。ここでも、子どもたちは話し合わざるえない状況になっていく。 自己評価カードの内容からも、その苦労がうかがえる。
「メディア創造力育成」は、ここで!
デジタルカメラやコンピュータを使った授業では、「デジタル表現」「IT活用」といった部分だけがクローズアップされがちになるが、学習のプロセスこそが極めて重要だ。
何かを伝えるために、それぞれが考えを出し合い練り上げていくから子どもの思考は促される。私は「文をよく読みなさい。」「言葉をじっくり検討しなさい。」などと直接的には言っていない。しかし、子どもたちは結果的に、文章を読み言葉を検討しながら表現を練り上げていく羽目になっている。つまり、それぞれの言語(原稿の下書き)を一つにまとめながら、あらたに映像を並べ替えることをやることになる。建設的妥協点を見いだすために、それぞれの文章を読むことにもなる。書く、読む、話す、聞く、の4つの活動が有機的につながっていくことになる。 |
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