教師の手だてと子どもたちの姿電子情報ボードに「いよいよ きょうは カードこうかんの日!」(写真1)と提示し、子どもたちの意欲をかきたてた。子どもたちも、その周りに動物の赤ちゃんを落描して楽しんでいた。子どもたちは、教師がスキャン・スナップで増す刷りしたカードを3枚ずつもっている。
教師は、この時間にも学びの壁を用意した。それは、せっかく教材文で「ちがいをかんがえながらよむ」ことを学習したので、その力を発揮させたいと考えたのだ。縦軸に「生まれたばかりの様子」で「おかあさんににている」「にていない」、横軸に「成長する様子」で「はやい」「おそい」をマトリックスにした掲示物(写真2)を用意し、自分が書いた動物の赤ちゃんはどこに位置するかを帰りの会のときに、貼らせておいた。 さらに、「たくさんの友だちにゲットしてもらいたいよね。」と言って「コアラ、自分の名前」を書くだけでなく、その横に、自分の「赤ちゃんカード」のウリを書かせた。「えをていねいにかきました」とか「みんなのしらないことがのっています」とか、それぞれみんなの目に止まるように工夫していた。 ゲットするカードは、自分のカードとは違う位置にあるカードを集めることになるのである。このマトリックスの表の見方ができるか心配したが、これは、算数で「25マスけいさん」をしていたので、迷う子どもたちはいなかった。 ところが、「にている、にていない」「はやい、おそい」の判断が、考えていたよりも難しかったのだ。しかし、表を見ていた子どもたちの中から、 同じ「犬」や「コアラ」なのに違う枠に入っていることが指摘されたことから、「にている、にていない」の大論争になった。前日の子どもたちの混乱ぶりから、ちょっと難しい設定をしてしまったかなあと反省していたのであるが、結果的によかった。説明文は「事実+意見」でできていて、意見のところは人の感じ方によって違うのだという結論に達したからだ。 クイズに答えてカードをゲットするという学習活動は、子どもたちを意欲的にさせた。クイズを出す子どもの口元を真剣に見てクイズを聞き、友だちの書いたカードを真剣に読んだりしていた。自分のところに友だちが来なくなると「えをていねいにかきました。きてください!」と宣伝する子どもたちも出てきた。これは、この活動の前に「たてわりまつり」があり、上級生が店の呼び込みをしていたのをまねたのかもしれない。1人がはじめると、他の子どもたちも始め、教室はずいぶんにぎやかになった。「せんせい、○まいゲットできたよ」「もう、カードなくなっちゃたよ!」とうれしそうに報告したりする姿が見られた。(写真3) 「メディア創造力育成」は、ここで!
このような学習活動は、「メディア創造力」育成の教師の着目点「4」自分なりの視点を持たせる5)差異やズレを比較し、実感させる8)建設的妥協点(=答えが1つではない)」に迫ることができているといえよう。
交換会は、子どもたちを2つのグループに分け「カードのおみせやさん」「カードをゲットする人」で交代するようにした。おみせやさんの子どもたちは、なるべくクイズカードを読むのではなく、来てくれた人をみながらクイズを出すこと、ゲットしにきた人は、最後に感想を言ってカードをもらうことをルールとした。これは、「メディア創造力」育成の教師の着目点「11」メディア創造力を追究する中から基礎・基本への必要性に迫る」に迫る視点といえよう。 こんな子が育った!(3) 交換会では、こんなことが起こった。「きりん」の赤ちゃんカードをゲットしに行ったAさんが、Bさんの出したクイズの答がちがっているというのだ。Bさんは、本の文章からではなく絵から分かることを記述したため、「キリンの赤ちゃんは、生まれたばかりのときは、目を閉じたままです。○か×か」というクイズを出したという。答えは「○」であったが、Aさんは「×」であると主張していた。そこで、他の図書資料に当たるよう支援した。こだわりのもてる子に育てたい。 |
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