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柏駅から商店街を抜け、静かな佇まいの中をのんびり歩くと、そこに旭東小学校はありました。温厚な校長先生に迎えられ、溌剌とした佐和先生に導かれて、村田先生の授業が行われるパソコン教室に入った瞬間、そこに整然とセットされた40数台のパソコンに私の目は釘付けになってしまいました。ふと我に返ると、教室の中がとてもしっとりとして穏やかなことに気がつきました。子どもたちは村田先生を囲んで座り、先生の話から自分の作品のイメージを思い巡らしているようです。ゆったりとして、近くの子と自然に小声で言葉を交わし合う子どもたちの姿を見ながら、居心地のよい空間のなかで、学びのなかに子どもたちがとけ込んでいるような心地よさを感じました。久々に本物の学びが生まれている学級の子どもたちに出会った気がしました。
2時間の授業の流れのなかで子どもたちは、より深くこの学習の中に入っていき、対象を見る自分の認識の深まりが確実に生まれていました。
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元絵に貼り付け |
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制作意図発表 |
それは、村田先生が1時間目の終わりに子どもたちを集めて、「なにを表現したいのか」「それはどうしたら表現できるのか」を問いかけられたことが一つのきっかけとなりました。先生は、子どもたちが言葉で説明的に表現しようとする傾向に対して、「絵で表現しよう。言葉は最後にどんと1つだけにしよう。」と問いかけ、子どもたちに表現の方向性を与えるとともに自分のテーマを問い直すことを求められました。そのことで、子どもたちは、さらに自分が撮った対象と向き合い、自問自答が生まれていったようです。それぞれが「こだわり」を深くしていました。ウインドウズのロゴマークをモチーフにした子は、パソコンに対する自分の気持ちを問い直していましたし、絵の得意な子は、デジカメの写真に満足できず、それを元に手書きのスケッチを描き始めました。きっと子どもたちは、もっと内面的な所から自分を見つめて表現していこうとするのではないでしょうか。次回が楽しみになりました。
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手書きのアイデアスケッチ |
4時間目が終わっても、子どもたちはなかなか止めようとせず、ぎりぎりまで表現の工夫を続け、急いで教室に戻っていきました。その子どもたちに村田先生は、「終わりの挨拶は心の中で言って帰っていいよ。」と言われたひとことに、私はとてもうれしくなりました。とかくきちんと始めと終わりの挨拶をさせたがる教師もいますが、この村田先生の言葉は、とっても自然で、子どもたちとのあたたかなつながりを感じさせてくれたからです。ここに私が最初に感じた「子どもが育つ秘密」が隠されていたようです。
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アドバイスの様子 |
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