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八尾市教育相談所
提供:日本教育新聞社
大阪府八尾市教育相談所(北野耕治所長)では8月20日、「パンフづくり」のワークショップが開催された。パソコンを使った簡単なパンフレット制作を通じて、子どもたちの情報活用能力と表現力の育成を目指す内容で、総合的な学習だけでなく、国語や図工など他教科との連携で実践できる題材として注目されている。 講師を務めるのは、神奈川県座間市教育研究所の桑原里美・情報教育アドバイザーと、石川県小松市立串小学校の谷口一登教諭の二人。

まず谷口教諭が、「パンフで何を育てるか?」と題し、パンフづくりの授業の目標を解説した。教諭は、「小学校の国語教科書は、パンフづくりやガイドブックづくりが盛り込まれるなど情報教育よりにシフトしつつある」とし、これらの単元には、「読む力、書く力、言語の力を含めた『伝える力』の育成というねらいが埋め込まれている」と解説。授業の際には、「誰に伝えるのか(相手意識)、何を伝えるのか(目的意識)の二つをしっかり持たせて制作させることが重要。これを実現するための手法を、今日は子どもになりきって体験してほしい」と語った。

制作に入る前に、実際に使用されているパンフレットを教材に、文章や色使い、画像、レイアウトなど、読み手を引きつけるためにどのような工夫がなされているか話し合った。さらに、有名な広告のキャッチコピーを「だじゃれ型」や「擬音型」などタイプ別に分類する作業や、色の明度差による見やすさの変化や色の持つイメージについての解説などを聞き、読者を一目で引きつけるためにキャッチや色づかいでどんな工夫ができるか学んだ。 今回制作するのは、京都市の「花背山の家」をPRするパンフ。ロッジ、食堂、周囲に広がる「冒険の森」から担当する箇所を選び、各自がA4・1ページにまとめる。
まず、取り上げる題材とその「ウリ」、読ませるターゲット、キャッチコピー、大まかなレイアウトなどをワークシートに書き込む作業を行った。「ここがパンフづくりのキモの作業です」という桑原講師の言葉を受け、参加者は素材として用意された写真などをじっくり見比べながら構想を固めていった。

今回、パソコンでの作業で使用するのは、画像編集ソフト「Adobe Photoshop Elements」。新規作成、背景のグラデーション処理、写真の切り抜きと合成、文字の入力と特殊効果の追加など基本的な機能のレクチャーを受けた参加者は、さっそく各自の作業を始めた。
「自然児になろう」というキャッチコピーを使った作品は、花の写真を大きなイチョウの葉の形に切り抜くなど工夫が目立ったほか、「冒険の森に飛び込も〜う!」という作品は、キャッチコピーに加え、詳しい内容をまとめたボディコピーまで書き込まれていた。

参加者の多くが「Adobe Photoshop Elements」の利用は初めてだったが、試行錯誤しながら作品づくりに取り組むうちに操作にも慣れてきた様子。「写真にテキストを重ねても読みやすくするにはどうすればいい?」とサポートスタッフに質問しながら、思い思いの表現を楽しんでいた。



完成後は作品をプリントアウトして掲示し、相互評価に移った。まず作品を鑑賞し、それぞれのよい点、改善点を付箋紙に書き込んで貼る。次いでプロジェクターで作品を投影し、制作者が表現上の工夫点や苦労した点についてコメントする時間を取った。

最後に桑原講師は参加者に、「子どもたちに自分の作品に対するコメントを45秒プレゼンなどで発表させるのも面白い。友達のコメントを受けて作品を手軽に修正できるのもパソコンのよさ」とアドバイス。
さらに「パソコンは入ったけどどう使おうか迷っているのはどの学校も同じ。先生自身が完璧に使いこなす必要はなく、最低限の機能を使うだけでも今日のようなパンフづくりを楽しめるので、ぜひ実践してみてほしい」と期待を語った。
八尾市教育相談所
浅野隆史 主査
八尾市教育相談所では、これまで画像処理やデジタルコンテンツの活用などにかかわる研修に積極的に取り組んできました。さらに、授業で生かせる研修はないかと探していたので、このワークショップの説明を受けたその場で実施を決めました。
パソコンに苦手意識を持つ先生方は、自分が十分使いこなせないから授業でも活用できないと考えておられる方多いですが、「子どもの目線で体験する」というコンセプトなら多くの先生に参加してもらえます。
この内容はパンフづくり以外でも応用できそうですし、最後の相互評価の手法なども様々な場面で応用でき、先生方の参考になったのではないかと思います。
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