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先生の道具箱 著作権ワンポイントアドバイス
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著作権ワンポイントアドバイス
第1回 著作権とACCSの役割
プログラム著作物の権利保護団体として約15年前に設立されたコンピュータソフトウェア著作権協会(以下、ACCS)は、違法コピー対策として警察と連携した調査活動の一方、デジタル著作物の権利保護を目的に、著作権思想の普及・啓発といった地道な活動にも力を入れています。特に、学校現場において、著作権思想を中心とした情報モラル教育に力を入れており、全国の学校、教員研修機関などで年間70回以上の講演を行っています。先生方を対象に講演をすることもありますし、子供たちと直接、対話する機会も多々あります。
著作権思想は、子供たちの素直な心の中に
子供たちと直接話をすると、その素直な気持ちに驚かされることが少なくありません。たとえば、写生大会で描いた絵の構図を隣の子に真似をされたのが嫌だと言う子がいます。なぜなら、自分で一所懸命考えて描いたから、簡単に真似されたくない、と言うのです。これこそ、なぜ人の創作物をコピーしてはいけないのか、という著作権思想の原点です。あるいは、コンクールに応募した作文が先生によって勝手に書き換えられて後から嫌な思いをしたと言う子供もいます。これは、著作権法の中の「著作者人格権」の概念に当たります。つまり、著作権とは、誰もが持っている真似されたら嫌だとか勝手に書き換えられたら嫌だとか言った気持ちを大事にしましょう、という考え方だと言うことができるのです。換言すれば、著作権とは、大人であれ子供であれ一個の思想を持った人間による創作結果、つまり表現に対して敬意を払い正当に評価しましょう、ということなのです。
クリエイター指向の子供たち
また、子供たちとの触れ合いの中で、将来なりたい職業を尋ねることがあります。筆者が子供のころは、パイロットや医者など技能を要求される職業が大多数でしたが、今の子供たちに人気があるのは、ゲームクリエイターや作曲家・歌手など、どれもがクリエイトし表現する職業ばかり。個人の思想を、ゲームや音楽として表現することに多くの子供たちが憧れています。そんな子どもたちにとって、自分の表現が尊重され、かつ他者の表現にも敬意を払う、という著作権思想をすんなりと受け止められる環境はとても身近なものなのです。
悪質な違法行為には警告も訴訟も
ここで、連載第1回としてあらためてACCSの活動についてご紹介しておきましょう。

ACCSの活動は大きく3つに分かれます。まず、コンピュータソフトウェアやデジタルコンテンツの権利保護活動です。インターネットを使って違法コピーソフトを販売している人への警告や、告訴を前提とした調査、そして訴訟支援。年間数十件の訴訟を行い、違法ファイル交換に対しては数千件の警告を行っています。

ACCSの最も強面の活動です。なお、この活動に聖域はなく、地方自治体の外郭団体に対しても、あるいは学校に対しても悪質な違法行為に対しては断固とした態度で行動を起こしています。実際に、ACCSが扱った事件の中には、たとえば、高校生2人が、受付・発送役とコピー役と分担しパソコンソフトの海賊版を販売していたという事件もあります。

2つ目の柱は、著作権制度の整備に向けた数々の活動があります。日進月歩のIT分野においては、法律も数年で時代遅れになってしまいます。技術の進歩に後れないよう法律を改正し、著作者の権利を正当に保護できるようにすることもACCSの重要な仕事です。現在のところ、日本の著作権法は、欧州と並び世界で最も進んだと言われるまでになりましたが、これも、著作権審議会の委員にもなっているACCSの活動があってこそと自負してます。
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