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岩崎一郎氏 |
岩崎:絵を描くことが好きだったので、なかにはテーマとしては退屈な時間もありましたが、粘土をこねるとか、鉛筆で何かを描くとか、その行為自体は面白いし、低学年のときは、別段、不満を持っていたということはありません。
でもひとつだけ、今でも忘れられない強烈な想い出があります。小学校4年生くらいのことですが、写生の時間に外の景色を描いていたんですね。太陽をしっかりと、こう、子どもが描くように線やフォルムなども色を使って。
そうしたらそれを見た先生に呼ばれて、怒られましてね。「そろそろこういう太陽は描かないほうがいい」と。で、ああ、こういう描き方は良くないんだと感じまして。言われたそのこと自体、本当はよく理解できないんだけれども、先生に言われたから。かなりショックだった。
ですが後になって、それは大きな間違いであることが分かった。つまり絵は上手い下手じゃない、何を感じるかというところなわけです。子どもは感じたまま見えたままを描くし、だからこそ、そこからいろんな物の見方や表現の仕方が育っていく。とすると、まずは子どもたちに自由に描かせるのが一番の教育。パースの取り方であるとかデッサン力であるとか、そういったことは専門教育の段階でやればいい。
というのも、あるとき横浜のアメリカンスクールで小学校の低学年の子どもたちの絵を見る機会があったんです。学校の廊下にパーッと貼ってあったんですが、それを見たときには本当に驚かされた。 |