茨城の出頭先生からご紹介いただいた北海道穂別町立稲里小学校の柳瀬です。実は、出頭先生とメールで様々なやりとりをするようになって数年たちますが、まだ実際にお会いしたことはありません。そうなる以前は、お互いに知らないところで相手の学校のサイト(私が出頭先生のところを、というように)をROMして状況を探り合っていたという、怪しい関係でした。情報教育に関わっていくと、いつの間にかこんな間柄の人がどんどん増えていくのは、みなさんもきっと経験済みのことと思います。これもある意味、とても面白いものです。
さて、私の勤務する穂別町は北海道の山間部にあります。中でも稲里小はその一番の山奥。全校でたった8人しか子どもがいません。子どもが1人だけの学級や兄弟だけで構成される学級もでてきます。このような地域で生活していると、日常的に顔を合わせる相手は限られています。大自然に抱かれた素敵な環境ではありますが、その分、社会的な環境は非常に乏しいものなのです。子どもたちは必然的に社会経験が不足しますし、学級内での意見の練り合いもほとんど見られず、また、お互いの関係が非常に強いため、少ない言葉で意思疎通ができるので表現力が不足したりしてきます。こうした状況の改善には、インターネットを活用して他校の子どもとの共同学習や交流学習を進めていくことが、大きな意味を持ってきます。一緒に学習する仲間がいるということは、子どもたちのやる気にも大きく影響してきます。
稲里小学校が授業の中でインターネットを活用した交流学習をするようになってかれこれ6年たちます。始める前と今とを比べると、子どもたちの様子が大きく変わってきたのがはっきりと見て取れます。井の中の蛙で外の世界を知らず、誰もが自分たちと同じような環境や考えで暮らしていると思いこんでいたのが、離れたところに友だちができ、その友だちと一緒に様々な学習を進めるうちに、常に相手を意識した活動ができるようになってきました。先述したような課題が徐々に克服されてきているのです。都会の大きな学校では当たり前のことも、稲里小のような規模の学校ではなかなか起こりえなかったりするのですが、コンピュータ、インターネットを活用することにより、それに近い体験を重ねることができるようになってくるのです。
都会の学校、大規模校ではもちろんのこと、小規模校、へき地校においては、特に効果を発揮するのが、インターネットを活用した学習だということを実感しています。へき地の子どもには、欠かせないものとなりつつあります。ですが残念なことに、切実に必要としているそうした地域になればなるほど、ブロードバンド化も遅くなってしまうのは事実です。一日も早く田舎にも高速回線を利用できる設備、環境が整ってほしいと祈っています。
次回は、北海道鵡川町立花岡小学校の宮脇公治先生です。先生は、情報教育に関わる様々な活動を続けながら、その軽いフットワークで全国各地を飛び回って、実践をさらに深いものにしていこうと努力されている方です。先生のお話から、きっと参考になるものが得られることと思います。
2003年01月08日 |