デジタル表現研究会
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【第3回】
林向達
先生 岡崎女子短期大学/講師

カミなる群れから、紙なる街角へ
ISIS立紙篇
http://www.isis.ne.jp/
2002年時点、Webページのもつ知的影響力の寿命が短いのではないかと、私は感じている。それは本との場合を比べてみれば、容易に浮かび上がる認識である。時代との「連動」や「密着」の観点から考えると、Webの方がより同時代・同時進行的にもかかわらず、読まれるたび新鮮さを提供出来る本の知的影響力に匹敵するWebページはほとんどない。あっても探し出すのに膨大な時間がかかる。

D-projectに登場する先達の方々も、『本とコンピュータ』誌のような情報文化について考える場に登場する人々にしても、本から多くを学んできた人たちばかりである。私たちが生きられる有限な時間をどこに費やすべきか。ISISで松岡正剛氏の誘いを助けに考えてみることが大事だと思う。
テクノロジーとアートの対話
icc online
http://www.ntticc.or.jp/index.html
Webに紙のもつ「強さ」を与えるのは、読み手の知的興奮を時を超えて誘発させられる創り手の意志や情熱、ある種のアクの強さではないか。この強さは、私たちや子ども達が教室で過ごす際にもつ緊張感にも通ずるものだと思う。

デジタル情報は技術的に生成や複製、消滅が簡単である。だからこそWebの世界は、そのことについてもっとよく考えるべきなのだ。「20世紀マトリクス」という興味深いコンテンツを公開していたICCを眺めるたび、かつてあったものがなくなっていることの意味を考えてしまう。あの意志はどこへしまわれてしまったのだろうか。生成された情報がいずれ起こしていく消失の過程。教育の場における情報デザインの大切な課題である。
新しい価値観との出会い
関心空間
http://www.kanshin.com/
もちろん、デジタルとデザインが手をつないで歩むということは、都合のよさ、気持ちよさばかりを志向することではないし、普遍性を過信することでもない。もっと七転八倒していくものだと、いろいろな機会に学ばせてもらっている。けれども今のところ、コンピュータが実現するデジタル空間は、私の頭のキャンバスより記憶力はいいが、柔軟性についてはまだまだ幼稚で、そのうえ面倒である。

XememPopCornなどの試みと並んで関心空間のようなコラボレーションが、動きを活かした知的影響力というものを、果たして垣間見せてくれるのかどうか。私は、本を読みながら、そんなことを考えていた。
2002年7月3日
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