インターネットというと、なぜか遠くの地域、例えば外国ということをすぐに連想する。教育現場に入ってきた時にも、これで遠くの地域の人たちとやりとりができる、外国の学校との交流や情報収集ができるということがかなり言われた。それはそれで総合的な学習や高等学校「情報」の授業で国際理解にからめてさまざまな実践が見られるようになってきたのは事実である。
しかし、筆者はむしろ逆のことを考えている。学校でインターネットを活用できるののは、遠くの地域よりも近くの地域なのではないかと…。もちろん、自分たちが普段は行けないような遠くの地域の学校とやりとりしたり、外国の文化にふれたりすることは意味のあることで、そのこと自体を否定しているわけではない。ただ、そればかりに目を向けていると大事な学習素材を見落としてしまう。
インターネットやテレビ電話を地域での交流学習に活用する事例も増えてきた。対象は地域の施設や専門家だったり近くの学校だったりする。
ある横浜市の小学校の例だが、4年生の社会科には地域学習単元がある。もちろん資料集もあり、子どもたちも学習に活用しているが、2つのウェブページサイトが大活躍だった。1つは「横浜市役所」のページであり、もう1つは、観光スポットで有名な「みなとみらい21」のページだ。特に、「みなとみらい21」の方は毎日のようにアクセスし、時にはプリントアウトしながらいろいろなページを参考にしていた。そして難しい言葉や新たな疑問はページに載っていたアドレスへE-mailを送っていた。さらに、それだけでは終わらず、放課後や日曜日などにグループで実際にみなとみらい21地区へ出かけ、担当者にじかに会いに行った。そこで、高まった問題をさらにネット上で質問したりウェブページを見直したりしていた。
もちろん、このようなウェブから担当者とやりとりをするケースもあるが、学校間の交流でも近くの場合は実際に会う活動をからめることができる。この事例は後の実践レポートに譲る。
特に小学校では、直接体験が重要であると言われている。それはその通りだと思う。こうやってインターネット上での利用(やりとり)と見学や会うことなどの実際の体験がうまく絡んでいけばこれ以上の有効利用はないのではないだろうか?インターネット活用はインターネット上だけで完結すべきではない。
子どもたちが実際に見て聞いて歩いて行ける範囲でウェブページを公開しているところを探すと、けっこうあるのではないかと思う。今後、このようにインターネットは家庭の普及は言うまでもないが、どんどん地域にも広がっていくだろう。近所の八百屋さんのホームページなんていうのも登場するかもしれない。E-mailで駅前の交番のおまわりさんとやりとりをする小学生が現れるかもしれない。
その時に、どうやって学校が教師がそのような地域と手を結んでいくのかが学校でのインターネット活用のキーワードになるのではないだろうか?
総合的な学習での外部人材は学校に来てもらうだけはない。こうやってインターネット上で子どもたち自ら直接交渉することもどんどん出てくる。そのときに、教師がどのようにふるまえるだろうか? |