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D-project アーカイブス 総合的な学習Q&A
第4回  1 2 3
 
現場の疑問に現場の声で答える 総合的な学習Q&A 提供:学研「NEW教育とコンピュータ」編集部
デジカメなどのメディア機器を調べる道具として使わせるときの留意点は?
A1. 林 誠 教諭「必要な時にいつでも使える環境を」
A2. 向出 章 指導主事「利用していく中で目的を明確化する」
A3. 田中龍三 教諭「メディア操作の講習会で学習効果をあげる」
中川先生のここがポイント!「「できるだけ身近に」がキーワード」
必要な時にいつでも使える環境を
林 誠
教諭
 子どもたちが必要なときに、いつでも使えるような環境を整えておくことが最も大切なことです。私自身がしてきたことをデジタルカメラに限定していくつか紹介します。
台数をそろえる
予算要求のたびにしつこくお願いします(学校で入らないので、個人で何台も購入して教室に置いていた友人もいます)。また、情報教育関係の財団などが募集している研究奨励金や補助金を得て購入する手もあります。
付属品などの常置場所を決め、使用状況がすぐにわかるようにする
台数が少ない場合、誰がどこで使っているかわからないと困ります。
使うルールを決める
記録したデータや使用後の電池の充電はどうするのかといったことです。使おうと思ったら「メモリはいっぱい、電池はからっぽ」ということがよくあります。ルールを決め、カメラの常置場所に掲示しておくとよいです。
日常的に利用する
調べ学習のときだけ、「さあ、使いましょう」といっても無理です。日記を書くように、毎日の出来事をデジカメで記録して一人ひとりが個人のフォルダに保存しておく、といった活動を続けていると、デジカメはもちろんパソコンの操作技能なども知らないうちに向上してきます。このためには、常時、教室に数台のデジカメが置いてあることが必要でしょう。
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A2 利用していく中で目的を明確化する
向出 章
指導主事
 デジカメなどのメディア機器は、現在、学校や家庭でも急速に普及しています。特に、デジカメやボイスレコーダは学校で利用されています。これらのメディア機器利用の利点は、すぐに確認でき、失敗しても何度もやり直しができることです。そして、様々な加工ができることも大きな特徴です。
 ここでは、デジカメを例に挙げて、留意点を考えます。
 デジカメが調べ学習の効果的な道具となるためには、失敗を考えず、まず利用してみることです。その中で、「対象にしているのは何か」という目的をはっきりさせていくことです。
 実際に実践したことをもとに述べます。まず、使い方を説明し、利用させてみることです。子どもたちは、何も考えず、感覚的に撮ってくると思います。撮った画像を選択する際に、画像が多過ぎて、整理ができないことに気づきます。その時に、調べている対象は何か、どの部分を撮りたかったのかを明確にしていく経験を通して、目的意識を持って利用するようになってきました。ただし、この場合、本来の教科等でねらう内容を達成するまでに通常以上の時間を必要としました。
 他の方法として、特別活動等を利用して、フォトコンテスト等を実施しました。対象を明確にして撮った画像とその説明を簡単に掲示して、互いに評価し合う活動を通して、体験的に対象を意識するようになりました。
 デジカメが効果的な道具として定着してくると保存の問題が出てきます。デジカメの画像等はパソコンには簡単に取り込めるので、1台のパソコンにクラス別のフォルダをつくり、保存し、年度ごとに更新していく方法があります。また、それがない場合、記憶メディアを各クラス分用意して、利用できるようにしておくとよいでしょう。
 どちらの場合も、子どもたちが撮った画像をいつでも確認できるようにパソコンやテレビを利用しやすくしておくことでさらに効果が上がると思います。
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A3 メディア操作の講習会で学習効果をあげる
田中龍三
教諭
 基礎的なメディア操作の講習会を行うことも学習効果を上げる一つの方法だと思います。本校では6月に総合学習週間を設けています。中学1年生では「基礎技能講座」の中で、今後の総合的な学習の中で使うと予想されるメディアの使い方も学びます。例えば撮影に関する場合、「フレーム」と「アングル」の決め方の違いで、撮った画像から受ける印象がどのように違ってくるかなどを実際に撮影させ実感させます。その中で、調べ学習で自分が一番伝えたいメッセージが表現できる最良の「フレーム」と「アングル」を考えさせます。デジタルカメラの場合、フィルムや現像焼き付けの料金が発生しませんから、いろいろ試させてその中から自分のイメージに一番合うものを選ばせることができます。このような体験を通し、調べ学習の意味、「自分は何のために、何について調べているのか」を再認識させることもできます。できれば、デジタルカメラのメモリは容量の大きいものを使用し、電池は常にフルチャージされた予備が1セットあるという環境を作っておきたいですね。
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中川先生のここがポイント! 「できるだけ身近に」がキーワード


効果とともに手間と慣れ
 コンピュータに慣れない先生が、それが校内にあるというだけで授業に活用するようになるでしょうか。効果が望めても、重い腰はあげないかもしれません。
 コンピュータ等のメディア機器は「できるだけ身近にある」ことが望ましいと考えます。十分なコンピュータの台数がある学校はほとんど皆無です。それでも、その一部を空きスペースや廊下などに配置し、コンピュータルームまで行かなくても「ちょっと使える」環境を保証している学校があります。調べ活動などでは、全員がコンピュータを使うわけではありません。使いたい子だけが使えれば良いのです。
 持ち運びの手間をかけない工夫もあります。デジタルカメラが5、6台まとめてバッグに入ってるだけで、いつでもそのまままとめてクラスに持っていって使える環境ができあがります。
 また、校内の情報委員会で、機器利用の需要をぐっと増やすきっかけになるような機材の購入を検討することも大事です。たとえば、プロジェクタとビデオ、ノートパソコンがいっしょに運べるメディアラックです。プロジェクタ類がいっしょになって移動させるのがラクだと、ちょっとしたことにも使おうと言う気にさせますよね。

かかわらせ方も大切
 メディア機器等とどのようにかかわらせるのかも大きなポイントです。例えば、電話やファックス。石川県のある小学校では、職員室にファックスを使いに来る子どもたちに先生方がまったく気にかけていない様子を見かけました。子どもたちが職員室に入ってきて、ファックスを日常茶飯事のように使っているのです。校内で調べる道具として積極的に子どもたちにかかわらせることが共通理解されていて、それが「つけたい力」として位置づいているのです。
 学習環境はメディア機器だけではありません。校内の先生方も「人」という学習環境です。追究する力が増すように、時には子どもが窮地に追い込まれるような難題を出したり、子どもが気づいていないことを指摘したりするのも校内の先生の役目です。
 「置いてあるだけではだめ」という面では、コンピュータのマニュアルもそうですね。本当に子どもたちが利用しているのか検証し、あまり利用されていなければ、それはなぜなのかを検討する必要があります。大人の都合で書かれているマニュアルには子どもたちは見向きもしないでしょう。
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