渡辺:ええ、そうですね。六年生(高校三年生)になると行うものですが、この模擬国連では、世界のそれぞれの国の状況を理解し、それぞれの国の立場から、たとえば環境問題や政治に関することなどテーマを決めて行っています。
今年のテーマは「貧困」です。生徒自身がその国のことをよく調べ、国の代表者という役割を通じて、自立的に発言するわけです。六年間それまで学習してきた、英語の力を発揮する場面でもあります。 |
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子どものときから、世界と向き合っていくわけですね。 |
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渡辺:たとえばこんなことがあります。私も「ゆとりの時間」といったカリキュラムの中で講座を持っているのですが、時々、生徒に対して“我が校にはいろいろな人間がいるよね”といった話をします。“そのいろいろな人間同士で、あっちが駄目だとかこっちがいいとかいうのではなく、なるほどこういう見かたもあるのかと尊重し合うことによって、それを自分独自の判断に活かし、考えかたを築き上げる選択肢にすることができるんだ”と。
そうすると早速、生徒から私のところにメールが入ってきます。
『先生、われわれ生徒の間ではこういう会話がよくあります。A君>キミってヘンな奴だな。B君>キミに言われることじゃないよ。そうするとまわりがワハハと笑います。ウチって、ヘンな人間ばかりが集まっていますね』
つまり生徒間でも、それぞれに個性的であることを認め合っている。 |
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生徒から、直接、校長先生にメールが届くわけですか? |
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渡辺:はい。それにメールもそうですが、六年生とは全員と、直接話をする機会も設けています。 |
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随分とオープンな校風とお見受けします。 |
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渡辺:この湘南藤沢では、教員室にもどんどん生徒が入ってきますよ。だから教員室はいつも雑踏(笑)。校舎の造りも“出会いの場”をテーマにしたロビーを設置したり、コミュニケーション重視のコンセプトで造られています。とにかく、教員と生徒のコミュニケーションの距離が近いということは言えるでしょうね。
もちろんすべてが理想ばかりで動いているわけではなく、いろいろな悩みもあります。けれでも、帰国生などがまわりに馴染めなくて悩むといった話は聞いたことがありません。ここでは、画一的に締めつけるようなことはしないんです。だから我が校は、子どもたちには生きやすい社会だと思います。そういったおおらかな校風なんです。 |