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D-project アーカイブス 中・高では今…
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中・高では今
東京という大都会の中心部に位置し、そばには迎賓館。そんな環境のなかで平成13年4月1日、旧四谷第一中学校と旧四谷第二中学校の統合により誕生した、新宿区立四谷中学校。それぞれの旧校が培ってきた54年間の伝統と校風を受け継ぎ、21世紀に生きる新たな学びやとして、未来への一歩を踏み出した。同校では、社会がどんなに変化しようとも「時代を超えて変わらない価値あるもの」をしっかり身につけさせるといった教育テーマを掲げており、授業においても総合学習「福祉ボランティア活動」をはじめ、さまざまな社会実習体験を推進。単に知識を増やすだけではない、人間としての豊かな心づくりに取り組んでいる。
まず、こちらの学校の誕生の経緯から教えていただけますか?
渡辺秀樹先生
技術・家庭担当/生活主任
能勢良弘(のせ・よしひろ)
能勢良弘(以下、能勢):新宿という地域は、いまとても生徒数が減ってしまって、中学校ではだいたい1学年3学級もしくは2学級くらいなんですね。小学校も1学級くらいになってしまった。
 そうするとクラス替えしないまま中学校に上がり、それほど変わらないメンバーで9年間を過ごすことになる。またそれに従って教員の数も減ってきますから、これはあまり教育環境としても良くないだろうと。
 そういった事情から昨年度、旧四谷一中と二中が統合しまして、一つになったわけです。統合化に際しては、さらに遡った一昨年から準備委員会が発足しまして、そこで一年間をかけてカリキュラムを作り直してきました。

教育における、都心部の空洞化ですね。
能勢:ええ。生活主任としてもあちこちの学校と交流しておりますが、都内ではもうほとんどの小学校が単学級ですね。クラス替えもないし、担任の顔触れも変わらない。すると子どもにとっては、ごく早い時期から、自分のポジションが決まってしまうんですね。わずか1〜2年の間に、子どもたちのグループの中で、自分の役割とかポジションが固定してしまって、そのまま6年間来てしまう。
 そうすると、どういうことが起きてくるかと言うと、たとえばいまこの中学校では4つの小学校から集まって来ますが、入学してから新たなコミュニケーションに入っていけない子が出てくるんです。それに上級生との関係も、なかなかうまく作れない。
どういうことですか?
能勢:つまり小学校にいたときの人間関係は少人数であるがために、上下の関係も「おにいちゃん」「おねえちゃん」といった感じで、必然的にかなり家族的な親密感が生まれますよね。
 ところが中学校に上がってみると、かつての「おにいちゃん」たちには、いわゆる学年ごとの横の関係が生まれている。だから入学したての子がそのままかつての感覚で接していくと、相手は周りのことを意識して、拒絶されるといったことが起きるわけです。
 一対一なら別なのかもしれませんが、そういったコミュニケーションの使い分けが、なかなかうまくできないといったことがあるようです。
コミュニケーションにおける、TPOの使い分けですか。
能勢:そうとも言えます。人数が少ないことによって、いろいろな人間との関係や話し方、態度、そういったことを使える場がないものですから。
 中学に入学してからの一学期は、割にそういったトラブルがありますね。そのうちに慣れていきますが。
都心の学校にとっては、受難の時代とも言えそうなお話ですが、そんな状況の中での学校生活。現場を受け持つ先生としては、どのような姿勢で取り組んでいらっしゃいますか?
能勢:学校の中だけで完結するような社会状況でもないし、また残念ながら、学校側としても全てをまかなえる状況でもありません。だから学校だけで出来ないことは外部の力も借りながら、地域と一緒に子どもたちの成長を手助けしていきたいと思っています。
 たとえば、部活動。本校の場合は、先生全員が部活動の顧問になっていますが、それでも実際の指導においては難しいことも出てきます。そういった時には、父兄の方に指導に来てもらっているというケースもありますね。
なるほど。
能勢:それと話は横道に逸れますけど、本校では駅伝とか陸上、水泳といった学校間のスポーツ競技に対して、これまでは出場選手を任命していたのですが、いまは生徒から出場者を応募しています。それとともに以前であれば、その大会のためのスケジュールを決めて練習を行っていましたが、そういった部分も割とラフにした。
 つまり、そういったスポーツの競技種目においても自分がどのように参加できるのか、協力できるのかを自分で考えて、出来る人は頑張る。学校としてもその場を用意するし、教員も指導する。そういったスタイルで、皆で頑張っていこうじゃないかと。
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