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情報教育徒然草〜友だちの輪〜
【第7回】
情報教育で培われるプレゼンテーション能力
貴志年秀先生(和歌山県 和歌山大学教育学部附属小学校)
1 はじめに

この4月に本校を卒業した子供の中に茅野吉裕くんという生徒がいた。この子は、コンピュータを使った学習の実践によって大きくその才能を伸ばした子供の一人である。とりわけ、彼のプレゼンテーション能力はずば抜けていた。彼が前に立って話をし出すと、それまでおしゃべりをしていた子供たちが、自然と静かになり、彼の話に引き込まれていく。そんな不思議な力をもった子であった。その不思議な力を養われた経緯をお話しよう。

2 “メディアキッズ”での活動

茅野くんとの出会いは、彼が3年生のときに、私が彼の担任になったことに始まる。当時の彼はというと、人なつっこく、何に対しても興味津々で、行動力のあるいわゆる中学年らしい子供であった。しかし、取り立てて“話すこと”“伝えること”が得意な子供ではなかった。当時、本校では、メディアキッズというネットワークを使った学校間プロジェクトの電子会議室に参加していた。そのメディアキッズが主催するプロジェクトの一つに、『ソフトクリエータプロジェクト』という企画があった。地域を越えた数校の子供たちが、ネット上で自分たちのプランを出し合いながら“夢のソフトウェアつくっちゃおう”というこの企画に、どっぷりつかってしまったのがこの茅野くんであった。

3 模造紙プレゼンからパワーポイントまで

もともとユニークさや独創性に優れていた彼、他校の子供たちと“夢のソフトウェア”についてのプランのやり取りをすることや、自分の考えを具体的な形に表していく作業に一生懸命取り組んだ。自分の思いを何とか周りの人に伝えようと、伝えるための絵の工夫をしたり、伝えるための言葉を選んだりと、時が経つにつれ彼のプレゼン能力はどんどん向上していった。この企画は、4年間続いたのだが、年に1、2回集まった参加校児童・生徒によるオフライン会のときの彼のプレゼンの様子が、彼の成長の履歴と言える。1年目は、模造紙によるプレゼンやお絵描きソフトを使ってのプレゼン。2年目は、お絵描きソフトをウェッブ上にアップしてのプレゼン。3年目4年目は、アニメーションソフトを使ったり、プレゼンテーションソフトを駆使して自分の考えを表現するようにまでなったのである。

4 「必要は発明の母」−なぜ、情報教育が子供のプレゼン能力を高めるのか? 

魅力的な学習内容(課題)が目の前にあり、それを追求する(解決)するために必要な道具が自分の力量によって選び使い分けることができるのが情報教育である。茅野くんは、この4年間、「自分の思いを伝えたい!」という一心で、様々な道具を使いこなしながらプレゼンテーション能力を高めてきたのではないか。言い尽くされた言葉であるが、これはまさに「必要は発明の母」である。プレゼン能力とは、伝えたいこと・ものが子供自身に内在し、それを的確に表せる道具があるときにこそ高まるものである。

次にご紹介する山田先生とは、彼の前任校、高野山小学校に勤務しているときに、ローカルネットを使って、学校間で交流をしていた。彼は、もともと理科が専門だが、情報教育や社会科など幅広く活躍されている。

2002年8月7日

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