デジタル表現研究会
D-projectとは? D-allメーリングリスト サイト検索 ホーム
D-project
D-projectのあゆみ
メディア創造力を育成する実践事例
ワークショップ
ユネスコプロジェクト
教材作成
調査研究
カリキュラム検討
ネットdeカルタ
卒業アルバム作成
先生の道具箱
全国に広がるD-project
D-project アーカイブス キーワードで読む情報教育
1 2
キーワードで読む情報教育 1
図工とコンピュータ
中川一史のキーワードへの道案内
新学習指導要領によると、中学では技術・家庭科の一領域で、高校の普通科に至っては「情報」という教科が必修になる。総合的な学習がスタートしたことも手伝ってコンピュータ・インターネットの学校現場での活用は、ようやく盛り上がりを見せてくるだろう。しかし、小学校ではコンピュータを使わなければならない必修の教科もなく、学校や教師の関心にまかされている格好だ。毎日の授業で忙しい(実際に教師は授業以外にもやるべきことが山ほどあるのは事実だ)のに、そんな新しいことに手を出す必要があるのか?と言われてしまうと、なかなか勧める方も反論ができにくい。

そんな中、小学校でコンピュータを利用することになるキーの教科はやはり図工(図画工作科)だと思う。図画工作科は大きく分けて、「表現(楽しい造形活動、絵や立体、つくりたいもの、工作に表す)」「鑑賞」という領域に分かれている。新学習指導要領の図工の領域ではコンピュータという言葉は出てこないが、新年度から使われる教科書には、「表現」「鑑賞」の両領域でコンピュータを活用した実践例が紹介されるようになってきている。

とはいうものの、先に述べたように学校全体では、デジタルカメラをはじめとしてメディア機器はどんどん使われている傾向にある。しかし、小学校の教科で言うと、社会科の調べ学習や総合の活動場面での活用が多い。新しい教科書にも、コンピュータの活用にからむような題材がちらちら出てきているが、図工の研究会の出席者からはまだまだ批判的な声を聞くことがある。

それはなぜなのか?理由は以下の2つに集約する。
1 造形活動に受け入れられないコンピュータ

図工の研究会でばりばり活躍されているような教師は水彩とかパステルとかそういう専門をもっている。もちろん、これまでデジタル加工などは専門にしてきていない場合が多い。授業でも、手や体を使い、水彩などの手段で表現したり、素材を直接あつかってこそ、創造的な造形活動が成り立つという考えをもっておられる。それがコンピュータを使ってボタン1つで(本当はそんなことはないのだが)ちゃっちゃっと作品ができあがってしまうなんていうことはとんでないし、出合い頭にコンピュータが作り上げる効果の機能ですばらしいデザインができあがってもそれは子どもの力ではない、と主張される。そして、そんなコンピュータが図工に入り込むことは「悪」になってしまうのだ。

しかし、だ。私ごとを言えば、小学生の時、絵を描く時間はいやでいやで仕方なかった。小学校の中学年ともなると、自分がどうやっても絵がうまく描けないことはわかっていた。最悪、途中で先生に画用紙をもう1枚もらってトライしたのだが、それでもうまくいったためしはなかった。もし、1年間の図工の時間のうち、数時間でもコンピュータで絵を描いたり、一部に使って何かを作り上げる時間があったらここまで苦手意識はもたなかったのではないだろうか?画像を取り込み、いろいろな機能を試し駆使して自分の思いに近づけることができたら、意欲をかきたてる表現の道具になるのではないか?そこからまた絵の具などを使った表現への意欲がはじまる子もいるのではないだろうか?もちろん、図工が大好きな子どもたちにとっても、クレヨンや絵の具と同様にコンピュータは魅力的な表現の道具になっているはずだ。

図工の時間全部をコンピュータで!とはけっして思わない。しかし、子どもたちにとって大人(教師)が考えるほど、特別なものでもない。あくまでも表現の道具のOne of themなのだ。
 

next

D-project アーカイブス キーワードで読む情報教育