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キーワードで読む情報教育 6
情報活用の実践力
レポート1
メディアの特性を意識した交流
中條敏江
(石川県 松任市立東明小学校)
高学年の情報活用の実践力の一つとして、メディアには短所と長所があることに気づいたり、適切なメディアを選択して情報発信したり、複数のメディアから選択して交流する力などが必要とされています。

そこで、環境を中心とした交流学習の中で、メディアを選択して発信する力を育てる取り組みを行いました。そのためには、「直接交流を鍛える」「多様なメディアを体験させる」「メディアの特性を意識させる」の3点が重要ではないかと考え、直接交流でのコミュニケーションの基本を大事にし、3点に配慮しながらメディアを通しての交流をすることで、情報活用の実践力の高まりを追究することにしました。

1学期は、30秒スピーチや、体育館での音読大会、学級会での討論など、音声言語を鍛えることをしました。また、ワークショップや発表会など直接交流の機会を設け、ふりかえりをしながら進めていきました。また、教科や総合の中で、メディアを利用した発信や交流の経験も何回も行いました。

2学期には、いよいよメディアの特性を意識した交流をさせたいと考えました。1学期のうちから、ちょっと離れた高校の化学の先生に、クラスのアドバイザーとなって頂き、交流のきっかけを作っておきました。そして、高校の大気の課題研究グループから、小学校に大気実験の依頼がきました。高校生にはわざと支援をしないで、質問が出るように簡単なメールでの依頼になるようしくみました。小学校の子どもたちは、実験場所や実験方法や器具など、質問したいことがたくさんありました。そこで、クラス全体でどの手段を使ってたずねるかを相談しました。高校のお兄さんたちの実験協力に失敗があってはならないと話し合いは真剣でした。電話では、一人しか聞けない。チャットでは、実験場所や方法など図で表せない。FAXが図にかけるのでわかりやすいのではと決まりかけましたが、聞き返したい時に時間がかかると言う理由で、結局はTV会議に落ち着きました。

校種が違うため相手を意識できること、実験に関する交流のため、必然的に画像利用の視点で特性を意識できると考えていました。また、はじめにクラス全体で、交流のためのメディアを選択したので、その後の追究活動では、各グループごとにメディアの特性を意識しながら選択していたようでした。
 
「高校生とTV会議で交流」
また、同じTV会議でも、クラス全体でする時に比べ、少人数でのTV会議は、言いたいことがうまく伝わらなかったり、沈黙の気まずい時間が続いたりして、終わった後にああいえばよかったこういえばよかったと反省が多くありました。そして、次回からは、Aと答えをもらったらBと質問して、Cと答えをもらったらDと言ってみようなど、グループで前もって練習したり相談したりするようになりました。

自己紹介などはネット上のほうが簡単に感じましたが、いざ交流してみると、模造紙の自己紹介のほうが、常時掲示してあるので、休み時間もよく読み、誰々に似ているとか趣味の傾向を調べたり、身近に感じてくるようです。送るときも、休み時間を利用して、デジカメで撮った写真を印刷して残りのスペースに色鉛筆やマジックでコメントを書きます。わがクラスの子どもたちは、まだまだデジタル表現よりも両方をあわせたほうが手軽にできるようです。

また、施設や商店街では、メールよりFAXのほうが多く使う場合もありました。また、忙しい中学校との交流もはじめはメールでしていましたが、途中からFAXに切り替わっていきました。やはり、相手のメディア環境にもよるということを、子どもたちが理解し、交流方法を選択していったのだと思います。

このように、メディアを意識して選択させる授業を組み入れることが、情報活用の実践力の向上につながると考えましたが、やはり、伝え合ったり書いたりする基礎基本が大事だなぁと痛感しました。
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