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キーワードで読む情報教育 11
校内LAN
〜あらためて教師の役割を問う〜
レポート1
校内LANで変わる子どもと学校
糸岡清一
(神奈川県 横浜市立菅田小学校)
ムダな労力と時間からの開放
思い出したくもない年度末の出来事です。校内研究主任の私は、明け方までキーボードをたたく羽目になってしまいました。研究総括アンケートを集約する作業のためです。みなさん熱心に書いて下さったのはとても有り難かったのですが、その処理まで考えなかった私のミスでした。しょぼくれた目をこすりながらつくづく思いました。「せめてフロッピーディスクで提出してくれたら」と。

恐らく、読者の中にも私のような苦い思いをされた方がきっとおありでしょう。もし、このアンケートが先生方のパソコンからサーバーに集約されていたら、私はそれを簡単に編集し、じっくり読み、分析することに集中できたことでしょう。そう考えるとずいぶんとムダな時間と労力を費やしていることに気づかされます。このように私たちの仕事の中には、やり方を少し変えるだけでずいぶんと効率よく、かつ、本質的なことに力を注げるようになるものがあります。「校内LAN」もその一つなのです。教職員が個人的に持っている情報がサーバーに蓄積され、みんなの共有財産となるならば、それは学校運営と教育活動にとって大きな効果を生み出すことになるはずです。そして何よりも校内LANによって、教職員が「自分の情報をみんなに公開しよう」という開かれた意識に変わっていくならばそれが「みんなで教育を創っていこう」というすばらしい学校づくりへと繋がっていくことになるでしょう。

もっと子どもたちに表現の楽しさを
私の学校の子どもたちは、自分を積極的に表現したり、コミュニケートしたりすることが苦手です。本当は、もっとそうしたいと思っているのですが、そういう場や学習する機会が少ないのです。そんな子どもたちに校内LANは豊かな学びの場を提供してくれるものだと思っています。

私は、子どもたちに個人で、グループで、学級でホームページ作りをしてほしいと思っています。メールも使ってほしいと思っています。多くの子どもたちがそこに表現の場を見いだし、楽しさを体験してくれたならば、もっともっと子どもたちは表現意欲がかき立てられ、表現すべき内容も豊かになると思っているからです。

さらに、子どもたちが伝えようとする相手を意識することによって、学級の中だけではなく、より広がった関係が生まれることが期待されます。例えば、自分たちの活動を全校へ広げようとする呼びかけが行われたり、兄弟学級が誕生したりすればどんなに楽しいことでしょうか。ひょっとしたら生活科の「ゆうびんやさんごっこ」も「電子メール」に変わるかも知れません。子どもたちは、自分にメールが届いてないかと、心待ちしながら学校にやってくるかも知れません。そんなことができたら学校がもっと楽しくなるでしょう。

校内LAN への夢と現実
さてさて夢は広がる一方ですが、「誰がそのシステムを作るんだ」ということになると、とたんに夢は萎みそうです。実は、私もパソコンとパソコンをLANで繋ぐだけのことはしたのですが、サーバーを立ててという事になるとこれまで二の足を踏んでいました。それにはそれなりの知識が求められるし、なによりもシステムを組み、維持・管理していく時間と労力に自信が持てなかったからでした。現に今だって、パソコンやデジカメなどの管理だけでも大変なのです。

しかし、校内LANがもたらすであろう効果を考えると、「やるしかないか」と最近やっと覚悟を決めました。とはいっても、私一人では心許ないので学区の方に「パソコンボランティア」を募ろうと考えています。今、私の学校には、いろいろな方が協力して下さっています。地域との結びつきが深まることによって教育の成果も上がっています。この流れをさらに進めることにも繋がる「パソコンボランティア」と共に「夢の校内LAN」づくりがいよいよ始まります。もし機会があればその悪戦苦闘ぶりをお伝えしましょう。
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