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キーワードで読む情報教育 12
情報TT教師
レポート1
コンピュータルームは情報担当者の「聖域」じゃないぞ!
豊田充崇
(和歌山県 和歌山大学教育実践総合センター専任講師)
「校内にコンピュータをはじめとする情報機器や情報通信ネットワークが整備されるようになりましたが、コンピュータルームは相変わらず情報担当者の「聖域」であり、その他の情報機器類も情報担当者の「占有物」と化している学校が多いと言えます。

これは、大多数の教員が「コンピュータを使ってみたいけどもトラブルが起こったらどうしよう」「分からないことを生徒から質問されたらどうしよう」「壊してしまったら大変なことになる」と考えていることが大きな原因でしょう。

そこで、「情報TT教師」の役割が重要になってきます。教科担当+情報担当でTTを組んで授業を進行すれば、教科担当者は授業で活用するソフトウェアの操作方法が分からなくても、機器のトラブル対処法を知らなくても、本来の学習目的を達成することに専念して授業を進行すればいいのです。

平成11年度のことになりますが、情報担当者である私は授業持ち時間を週10時間だけにしていただき、空き時間に他の教科の先生たちがコンピュータをはじめとする情報機器を使う授業をサポートしてきました。技術科は言うまでもなく、国語、数学、社会、理科、英語、音楽、美術、家庭、体育、特活、そして試行中であった総合的な学習の時間というすべての授業で情報機器を活用した授業の支援をおこないました。

例えば、理科では河川調査活動の結果をWeb化したりマルチメディア図鑑の作成をおこなったり、TV会議で上流と下流の学校と情報交換したりと、様々な学習場面でこれまでにない情報機器の活用ができました。また、国語では短歌のプレゼンテーションを作成したり、数学では表計算ソフトで統計処理をおこなったり、体育では器械体操にビデオキャプチャーを利用したりと数え上げるとキリがありません。さらに、国語・美術・音楽の担当者に情報TTを加えて、ストーリー性のある「マルチメディアスライドショー」を作成するなど、情報機器の活用を軸にして複数の教科を組み合わせることもできました。

このほかにも、「コンピュータを使うとより効果的な場面」や「コンピュータでないとできないこと」をどんどんと提案していきました。
このように多種多様にコンピュータを使う授業が増えるにつれて、それだけ生徒たちのレベルも自ずとアップし、どんどんと授業がやりやすくなっていきました。操作やトラブルに惑わされることなく、本来の学習目的を達成することが徐々に容易になってきたのです。ここで気づいたのは、「生徒の活用能力を事前にある程度まで上げておく」ということが一般教科の担当者が情報機器を活用した授業を進めやすくなる大きなポイントだということでした。

そこで平成12年度からは、生徒のスキルアップに重点を置いた授業を開設し、今度は情報担当者がT1となり、他の教員をT2として授業を進めました。この授業は目的とする情報スキルにあわせて、「情報機器活用講座」「プレゼン講座」「コミュニケーション講座」という名称がつけられました。これで、生徒の情報スキルのアップと情報担当者ではないT2の教員のスキルアップを同時に目指すことができたのです。

このようにして、平成11年度にはコンピュータを活用するすべての授業に情報TT教師がサポートに入っていたのが、平成13年度には、支援や活用方法の提案がなくても情報関連の授業がおこなわれるようになったのです。3年目からは、情報スキルを身につけた生徒、情報機器の活用に自信を持った教員、安定した情報機器の活用環境の整備等の要素が相乗効果を生み、スムーズで活発な授業が展開できるようになったといえます。

「そうはいっても、なかなかそんなにうまくはいかないよ」と言われますが、とにかく、情報TT教師は、「どんどん使おう!使ってもらおう!壊れたら責任は私が持とう!」といった気構えで挑むことからはじめていかなくてはいけません。以下に、「情報教育を成功に導く情報TT教師の主要な役割」をまとめておきます。
一般教科では、教科担当者がT1、情報担当者はT2としての役割に徹する。
生徒の情報スキルアップを目指す授業を開設し、情報担当者がT1、一般の教員がT2で入ってもらう。
コンピュータ利用の「規制緩和」を目指し、全職員そして全生徒ができるだけ使いやすい情報環境の整備をおこなう。
総合的な学習や特活を含む各教科の単元構成を把握し、情報機器の活用場面を提案していく。
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