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キーワードで読む情報教育 12
情報TT教師
レポート1
情報TT教師の醍醐味
前田康裕
(熊本大学教育学部附属小学校)
情報TT教師誕生
7年前、学校にコンピュータが入りました。

当時は「コンピュータ様」という感じで、なんだか恐れ多い気がしました。コンピュータ様は、なかなか気難しいです。信心の薄い者には容赦なく鉄槌をお下しになります。私はトラブルもなく使っておりましたが、他の学級で使い出すと、コンピュータ様の逆鱗に触れることがありました。私が自分の教室で授業をしていると、「プリンタが動きません」「画面が固まりました」といった訴えが届くようになり、私がその怒りを静めにまいりました。そのうち、「コンピュータ様はなんだか面倒だ」ということになり、ほとんど使わない学級も出てくる始末でした。

しかし、4年前から「学校全体で、子どもの情報活用能力を育てよう」ということになりました。そこで、私は、情報TT教師に任命されたわけです。学級担任とTTでコンピュータの授業を行うことになったのです。

1学期の情報TT教師の役割
現在は、総合的な学習の時間に、基本的な情報活用スキル獲得のための「情報」という授業を設定しております。この授業は、1学期に10時間、集中して行います。情報担当の私がメインとなり、学級担任がサブとなり、TTで授業を行うわけです。

「情報」の時間の各学年の主な内容は以下のとおりです。
3学年 「タッチタイピング1」
  「友達のいいところを紹介しよう」(デジタルカメラの撮影と印刷)
4学年 「タッチタイピング2」
  「友達のいいところをプレゼンしよう」
(パワーポイントによるプレゼンテーション)
5学年 「交流相手校に学校紹介ホームページとビデオレターを送ろう」
(動画編集の基礎、ホームページの作成)
6学年 「英会話ビデオ番組を制作しよう」(番組制作の基本)
子どもたちは実に楽しそうにこれらの学習を行っております。特に、6学年の「英会話番組を制作しよう」には、「ギャグを入れる」という条件が入っております。授業で「ギャグ」です。私の趣味です。この条件で、子どもたちはかなり考えなくてはなりません。

たとえば、外国人から「何を食べたい?」と聞かれて、子どもが「パン。パンだよ。」と答える場面があります。その外国人が「パンダを食べる」と勘違いしてびっくりするといった内容もあります。教科書がないから、これでいいのです。第一、楽しいでしょ?
2学期以降の情報TT教師の役割
2学期には、「情報」の時間はなくなりますが、今度は、学級担任が、メインとなり、私がサブとなります。総合的な学習で行う「調べ学習」や「プレゼンテーションデータの作成」などを行うのです。

1学期と2学期でこのような形で役割を分担すると、非常に効果的です。なぜなら、スキルの部分は、情報TT教師が指導し、肝心の学習内容は、学級担任がリードできるからです。したがって、2学期以降の学級担任のアイデアが極めて重要になります。「まとめたことを絵本にしたいんだけど、どんな方法でできますか?」「演劇公演のポスター作成には、どんなソフトがいいのでしょうか?」といった質問を受けます。そこで担任の授業の目的を聞いて、私はそのアドバイスを行います。

情報TT教師の醍醐味は、各学級のアイデアの具現化にあります。学級担任が望んでいるような授業を実現できたときが一番うれしいのです。たとえば、昨年度の6学年の子どもたちは、1年間の授業の様子をデジタルカメラで記録しました。子どもたちは、それらの映像に、音楽を加え、子どもの語りを加えて、2分程度のマルチメディア作品をしあげました。まさに、「マルチメディア・ポートフォリオ」が完成したのです。

情報TT教師は、このように極めてかっこいい仕事なのです。(と思っております。)
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