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レポート1
都合も計画もあったもんじゃない
村上 拓
(石川県 金沢大学教育学部内地留学生)
今回生徒が、自分が興味のある課題研究について調べたときの様子を生徒側の立場、あるいは先生側から考察してみました。

課題研究の内容とは、近くの公民館ではいったいどのような活動をしているのかをCDで紹介するというものです。この公民館ではいろいろな講座を開設しており、たくさんの講師の方に講座の内容について話をしていただきました。内容を調べるというよりは取材といった方が近いと思います。

まずは、公民館の館長さんや担当の方に電話で取材の申し込みをし、あとは講座の種類や講師の方のお名前等をパンフレットで調べ、その講師の先生と連絡を取り、都合のよい日時を設定するといったことを生徒が自分たちで行います。生徒にとっては面識のない何人もの方と話すということは初めてだったに違いありません。そのことについて生徒に尋ねたところ、「人とコミュニケーションをとることがこれほど難しいこととは思わなかった。」と言っていました。
生徒の活動の様子 公民館の講座
日頃、生徒も先生も決められた時間になるとチャイムが鳴り、それとともに行動が開始される。当たり前に思っていたことが全く通用しない。講師の先生の都合で時間が決められ、自分たちの都合など考えてはもらえない。

また、せっかくお話を伺うことになっても大変話し好きの先生が何人かいらっしゃって、取材の本質にたどりつくまで長い時間を要し、計画時間を大幅にオーバーして帰りが遅くなったり、次の授業に間に合わなかったりしたこともあったそうです。

次に、その作業と平行して課題研究の内容を満足させるための機材選びやソフト選びが必要となりました。現在市場に出回っているものを予算に応じて調査し、選ぶという重要なことも自分たちでやりました。また、機材の使い方やソフトのマニュアル本など、生徒にとっては初めてのことが数多くあり、自分で調べて、それを確かめてみて試行錯誤しながら少しずつ習得していくなかで、教えてもらうという姿勢から学ぶ姿勢に変わっていきました。

ソフトや機材の解説本でわかりやすいものを探しましたが、種類も少なく自分にあったものがない、専門用語が多くてわからない、先に進まない等々大変苦労がありました。そのソフトを使っている企業の方に作った見本を実際に起動して見せてもらったことが、自分たちの作ろうとするものに応用する糸口がつかめたと思います。

課題研究の成果
今回、生徒たちが取材やソフトの使い方などを、自分たちで連絡調整をし、自分たちで調べるという今までに経験のない事をやり遂げて、達成感は人一倍あったのではないでしょうか。毎朝決められた時間に学校に登校して教室の座席に着き、教材はすべて与えられ、手を広げていれば必要な情報は先生の方からやってくる。テストは教科書に出ていることしか求められず、その本質の意味はわからなくてもこの問題の答えはこう書けば○(点数)がもらえる。というこれまで当たり前だったことが全く通用しない世界に飛び込んで、大変勉強になったと思います。

最後になりましたが、生徒たちは自分にとって好きな事柄であればどのような苦労をしてでも調べきる忍耐力が伺えました。これからますます教育課程が多様化し、単位制になり、選択科目が増えてくることも考えられます。このような試みが生徒の自分にあった科目や好きな科目を選んで、与えられるだけではなく意識を持って取り組む姿勢に発展できればと思います。


 

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