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商業デザインであれ芸術作品であれ、自らの意思を表現し伝えるという情報伝達の本質は変わらないと思います。そしてそのために必要なセンスや技術というのは、たくさんの優れた表現に触れ感動することにより、どんどん研ぎすまされていきます。さぁ、まずはここでご紹介するサイトを理屈抜きでいっぱい感じてみて下さい。もしかしたらあなた自身の感性が鋭く触発され、不意に新たな方向に動き出すかも!? |
水田明子/デザイナー |
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10 月 の セ レ ク シ ョ ン |
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1965年にニュージーランドに生まれ、プロダクトデザインおよびグラフィックデザインの両分野で活躍しているデザイナー、クリス・グラッタン氏のサイト。1988年にはIDEEの黒崎輝男氏に招かれ東京でも活躍していたので、すでに彼の家具に遭遇されている方もたくさんいらっしゃるだろう。彼の作品はどれもとてもシンプルなデザインなのだが、ご覧の通りカラフルで楽しく、見る人の気持ちを弾ませる。中でもPRODUCT DESIGNのWORKS 11のCONE LIGHTとWORKS 12のFANは実にユニークで、どんな部屋でどんな人が使うのだろうかと想像して、ちょっと楽しい気分になる。Webサイトとしてご紹介するにはあっさりしすぎと思われるかもしれないが、オブジェクトの配置バランスやホワイトスペースの使い方など、彼のセンスに学ぶところは多いのではないだろうか。 |
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ドイツのWilkhahn社のサイト。「市場のためではなく、あくまでも人のために」生活空間をデザインし続けてきたという自信と長い歴史を持つ、インテリア・ファニチャーの会社だ。このサイトでは、働くオフィス環境が快適であることに加え、ラウンジなどデスク以外のスペース、つまり緊張を弛緩し、新たなエネルギーを得るためのスペースが重要であると考え、「Working」「Conferencing」「Relaxing」などのシーンごとに生活空間を提案をしている。この「Working」のカテゴリーで、私はとても可愛い椅子を発見してしまった。「Standing or sitting? "Stitzing"!」というちょっと愉快なキャッチコピーの傾いたスツールだ。なんでも一日中座って仕事し続ける過酷な状況を少しでも緩和しようという発想だそうで、確かに資料キャビネットの周辺やちょっとした立ち話的な打ち合わせなどに重宝するのかもしれないが、この椅子、座っている間は自分でバランスを取らねばならないというのがなんともユーモラスで、私は秘かに自宅にひとつ欲しいなぁと思ってしまった。誰かプレゼントしてくれませんか? |
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水田明子
みずた・あきこ (株)日本電気デザインセンター(現(株)NECデザイン)でのプロダクトデザインのアシスタント時代を経て、企画デザイン会社(株)カムス・キャパにてグラフィックデザインの仕事に従事。その後アナログからデジタルへと移行する中でゲームの背景デザインや雑誌の挿し絵などを制作し、現在は(株)リコーヒューマンクリエイツにて企業におけるドキュメントデザインの標準化に携わる。 |
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