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先生の道具箱 ホンモノパンフレット制作
 
授業報告【第2回】
パンフレット研究をする
授業のねらい

パンフレットって結構、私たちの生活に入り込んでいます。意識して家の中で探してみると、電化製品や車などのパンフレットを、すぐに見つけることができます。それらには、読み手を引き付けるさまざまな工夫がこらしてあります。その意味では、「表現する方法」「伝える力」といった情報教育のエッセンスを学ぶ格好の教材になります。

この授業では、コンピュータソフトウェアのパンフレットを素材にして、「画像はどんなものが使ってあるか?」「色使いは?」「文章の工夫は?」など、読み手を引き付けるプロのテクニックを探ります。そしてここで学んだことを、パンフレット作りだけでなく普段の「書く」作業(学習ノートや新聞作り、教室掲示のポスター等)にもいかせることをねらいとしました。
授業の様子
9月25日

ホンモノパンフレット制作を請け負ってしまった(?)子ども達。その責任の重さをしっかり受け止めている子、今ひとつ実感がわいていない子など、子ども達の受け止め方はさまざまです。

いざパンフレットを作ることになっても、いきなりコンピュータに向かうわけにはいきません。パンフレット作りは、コンピュータ作業までの学習や計画が重要です。今回の取り組みは、かなり長期にわたるものです。その間に、ラフスケッチ(※1)やワークシート、評価カードなどがたくさん増えることが予想されました。それらを保管するためのポートフォリオも作りました。

授業風景

さて、このパンフレット研究は山田教諭の指導のもと、教室で行いました。実を言うと、この子ども達がパンフレット研究をするのはこれが初めてではありません。1学期に三重県のみさきの家パンフレットを作った時にも、家からいろんなパンフレットを持ち寄って研究しました。しかし、子ども達が依頼されたのはコンピュータソフトのパンフレットです。ソフトウェアパンフレットには特有の訴求(※2)手法があります。そこで今回は、ソフトウェアのものに絞ってパンフレット研究するように、担任の山田教諭に依頼しました。教材とするパンフレットは、前日に学校近くのコンピュータショップに行って、たくさんもらってきました。(これもTTの仕事のうちなんです…。)教材がただで手に入るというのは、授業をする上で好都合でした。

 
パンフレットを研究する子どもたち  

授業ではまずはじめにパンフレット用語をおぼえました。キャッチコピー以外にもボディコピー(※3)、キャプション(※4)などパンフレット特有の説明文があることを学びました。それから、子ども達はいろんなソフトウェアのパンフレットを広げて、観察しはじめました。気がついたことは、ワークシートに記入していきます。

 

 
 
  ノートにまとめるつばさ君

この時、特にハッスルしていたのは、クラス一の元気者、つばさ君でした。約10分間の書き込みで、つばさ君のワークシートはびっしりと埋めつくされました。彼は、書いたりまとめたりといった作業が大好きなのです。「画像の補正ができることを、読み手にくわしく伝えている。」「有名人の写真でまず読み手をつかみ、その横の文章を自然に読ませることで、買いたくさせている。」など、なかなか鋭い意見を書いていました。

そして、気がついたことをみんなで発表しあいました。子ども達の発言を、山田教諭がどんどん黒板に書いていきます。その結果、次のような意見が出されました。

(画像の工夫)
コンピュータ画面をのせて、わかりやすくしている。
コンピュータ加工前と加工後の画像をのせている。
読み手を引き付ける物や人(芸能人など)の画像を使っている。
表紙には特に目立つ画像を使っている。
   
(色の工夫)
白抜き文字がある。影もついている。
使っている文字の色は少ない。
説明文の文字色は黒を基本にしていて、大きさも小さい。
文字が見やすいように背景色を工夫している。
表紙に目立つ色を使っている。
   
(文章の工夫)
商品のよいところを、「かんたん!」「おまかせ!」というふうに強調して伝えている。
画像を見てから、自然に説明を読むような流れになっている。
見出しなどの大切な言葉は、わくをつけたりサイズを大きくして目立たせている。
要点をしぼった文章になっている。
商品の使用法が、わかりやすく書いてある。
びっくりマーク(!)がたくさんある。
英語もいっぱい使ってあってかっこいい。
   
(その他)
全体のページは少ない。
裏表紙に問合せ先が書いてある。
値段もわかるようにしている。
 

パンフレット研究をしてみて、子ども達が最も意外に感じたのは、「使ってある文字の色が少ない」ということでした。普通、販売促進用パンフレットというと派手なイメージがあります。しかし実際には、見出しなどに赤や緑が少し使ってある程度で、ほとんどの文章は黒色が基本になっていました。これが読みやすさにつながっていたのです。 このことから子ども達は、「人に何かを伝えたい時には、派手に飾るより読みやすさを大切にする」ということを学びました。そして、この時学んだことは、このあと実際にパンフレットを作る時に生かされることになります。

(※1) ラフスケッチ・・・下書き。
(※2) 訴求・・・宣伝・広告などによって買い手の欲求にはたらきかけること。
(※3) ボディコピー・・・くわしい商品内容の説明文。ある程度の字数的なボリュームになる。
(※4) キャプション・・・新聞や雑誌、ポスターなどで、画像のそばに添えられる短い説明文。画像だけでは伝えきれない数字等の情報を補足する。
担任のつぶやき
  5年生の子ども達が「パンフレット」という言葉を聞いて、まず思い浮かべたのは、映画のパンフレットでした。車、カメラ、冷蔵庫…などのパンフレットは、どれも大人向けのものですから、無理もありません。けれども、それらを子どもの目で見つめても、その特徴は明らかでわかりやすいものでした。こちらが思っていた以上に、簡単にそれらを見付けていきました。子ども達の鋭さに感心しました。  
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先生の道具箱 ホンモノパンフレット制作