デジタル表現研究会
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授業報告【第2回】
パンフレット研究をする

授業のねらい

この授業では,班ごとにつかんだPhotoshop Elementsのウリを,プレゼンテーションを通してみんなで共有するのがねらいです。

本校は今年,「伝える力の育成=コミュニケーション能力」を校内研究テーマにしています。その校内研究で目指す子ども像は,ホンモノパンフレット作りでつけたい力と多くの部分が一致します。ただこの取り組みでは,伝えたいことを紙面を通して伝える力を育成します。ですから最初の計画では,この取り組みの中に話して伝えるプレゼンテーション活動を埋め込むつもりはありませんでした。しかしこのホンモノパンフレットの取り組みは,「社会・現場を垣間見る」ということもねらいにしています。実際の広告業界では,クライアントに対する広告案のプレゼンテーションは必ず行われます。他の広告代理店との競合なんて当たり前で,うまく自分達の作品のウリを伝えることができなければ,採用してもらえません。もちろん,それは死活問題です。そのような現場の厳しさを体験させる上では,やはりプレゼンテーション活動が必要だと考えました。そこで,Photoshop Elementsのウリをみんなで共有する段階,それからパンフレットのベータ版(※1)ができた段階,および最終版ができた段階の計3回,プレゼンテーションをさせることにしました。特にベータ版と最終版のプレゼンテーションでは,中川先生と北川氏に来ていただいて,クライアントプレゼンテーション(※2)の緊張感を味わわせることにしました。

(※1) ベータ版・・・完成途中の作品。試案。
(※2) クライアントプレゼンテーション・・・顧客に対して広告案や建築案を提案するプレゼンテーション。
授業の様子
  3分1秒  
  DSL用(High)  
  ISDN用(Low)  
 
プレゼンテーションをするあかねちゃん  
6つの班でそれぞれ見つけたPhotoshop Elementsのウリには,重複するものもありました。そこでプレゼン大会の前に,どの班がどのウリを発表するかをまず調整しました。さて,ウリプレゼン大会本番。あかねちゃんとつばさ君も,この日の発表者になりました。あかねちゃんは「自動選択ツール」の便利さを伝えることにしました。「自動選択ツール」とは,画像内の似たような色の部分をワンクリックで自動選択できる機能です。彼女は砂漠の画像を表示して,「自動選択ツール」で砂漠の黄色い部分を一気に範囲選択できるデモンストレーションをしました。さらに,「カラーバリエーション」という機能を使って,選択した砂漠の黄色を赤色や青色など違う色に変える技を紹介しました。それを見ていた子ども達も,一瞬で色が変わる様子を見て,思わず「お〜!」とため息をついていました。Photoshop Elementsのウリが一つみんなに伝わったな!と感じた瞬間でした。

緊張ぎみのつばさ君
さて,つばさ君の順番がまわってきました。なにやらそわそわしているつばさ君。どうやら緊張しているようです。「こんなに緊張するのは初めてだ・・・」と,ポツリとつぶやきました。彼は「フィルタ」の「網目」という機能を発表しました。これは画像を網におしつけたような効果を与える機能です。彼はこの機能で,画像がキラキラと輝いたように変身することを発見しました。そこでサンフランシスコのゴールデンブリッジの画像を表示して,その効果をデモンストレーションしました。 他の子ども達は,画像合成や文字入力,図形の描画やお絵かきなどの発表をしていました。

この日のウリプレゼン大会では,画像をワンクリックで白黒に変えたり絵のように変えたりできる「フィルタ」系の機能紹介が全体的に多く見られました。子ども達は,一瞬で効果が確かめられる機能が気に入ったようです。また興味深いのは,大人が思いつかないような意外な使い方を,多くの子が見つけていた点です。これは制約をもうけず,子ども達に自由にPhotoshop Elementsをさわらせたのがよかったと考えています。もし教師が「この機能はこんな時に使うんだよ!」とその使い方を紹介していたら,自由な発想は生まれなかったと思います。

Photoshop Elementsのウリをさがす活動を通して,子ども達は自然にその使い方を身につけていきました。もちろんその楽しさや魅力も,しっかり実感することができました。ただ,この日のプレゼンテーションで気になったのは,全体的にいきいきと伝える子どもが少なかった点でした。その原因としては,プレゼンテーションそのものにまだ慣れていないということや,リハーサル不足などが考えられました。「この子ども達,北川さんや中川先生を前にしてプレゼンテーションできるだろうか?」と,不安な気持ちがよぎります。でもこれが学級の実態です。この日明らかになった子ども達の課題は,次回のクライアントプレゼンテーションに向けて生かしていくことにしました。

担任のつぶやき
 

この活動が始まって初のプレゼン。子ども達は,自分たちが見つけたウリを,自慢気に自信満々で発表するだろうなあと思っていました。が,いざプレゼンが始まってみると・・・。
あれ?」何かいつもと違う感じです。普段の授業で発言することに慣れているはずの子どもたちが,なぜかとても緊張しています。声も友達に届くか届かないかの大きさで,自信なさそうに聞こえます。伝えようとするパワーもあまり感じられません。「前時あれだけ嬉々としてコンピューターを操作していたはずなのに,おかしいなあ。」プレゼン後,担任として子ども達の「話す」表現力の不足を感じ,少なからずショックを受けました。本当はもっとうまくできるはずなのに・・・と歯がゆい思いが残りました。
 
活動を終えた今,この頃のことをふり返って,なぜこの時のプレゼンがこういう結果だったのかが分かるような気がします。パソコンを操作しながら話さなければならない。画像をみせながら説明しなければならない。友達が分からないことを分かるように説明しなければならない。どのような言葉を使えばいいのか難しい。・・・などのハードルがいくつもあり,自然にプレッシャーがかかったのだと思います。でも,この経験が以後の積み重ねのきっかけとなるのです。

 
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