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授業報告【第2回】
パンフレット研究をする
授業のねらい

いよいよ中川先生と北川氏を迎えてのクライアントプレゼンテーションです。伝わらなければ報われない切実感を感じさせることにより、子ども達のプレゼンテーション能力を高めることがねらいです。

この日のプレゼンテーションにお迎えしたのは中川先生と北川氏だけではありません。学研の「NEW教育とコンピュータ」と日本教育新聞社の記者やカメラマン、また金沢大学教育学部に内地留学されている先生も見学に来られました。結局子ども達は、10名以上の大人達を前にプレゼンテーションすることになりました。緊張感を味わわせる場としては、最高の場となりました。
授業の様子
  3分3秒  
  DSL用(High)  
  ISDN用(Low)  
プレゼンテーターは、各班一人ずつ選びました。その子ども達には、「このパンフレットで何を伝えたいか」「工夫した点はどこか」「他の班より優れていると思う点はどこか」などを整理して発表するように指導しました。それから「原稿は読まない」「中川先生と北川氏の目を見て話す」など、プレゼンテーションの基本についても知らせました。発表時間は3分としました。

 
プレゼンテーションするつばさ君  
 
厳しく評価する北川氏と中川先生  
3班はつばさ君がプレゼンテーションすることになりました。彼は伝える内容を、あらかじめ紙に箇条書きしました。ところが本番の日、その紙がぼろぼろになっています。理由を聞いてみると、「昨日、お風呂の中で練習したから、(水に濡れて)こんなになってしまった!」との事。彼の真剣さが、ひしひしと伝わってきました。

そして、いよいよ本番。各班が順番にコンピュータ室に入ってのプレゼンテーションとなりました。順番がくるまでは、コンピュータ室隣の音楽室で待機です。みんな緊張がピークに達しているようで、そわそわと落ち着きません。
1班からプレゼンテーションが始まりました。子ども達は主に、次のようなことを訴えました。
Photoshop Elementsにはたくさんの機能があることを、パンフレットで伝えたかった。
いろいろな操作が簡単にできることを伝えたかった。
Photoshop Elementsの機能をたくさん紹介した。
サンプル作品には影をつけて目立たせた。
見出しの色と形をそろえて統一感を出した。
画像の加工前と加工後が比較できるように工夫した。
コンピュータ画面をのせて、Photoshop Elementsの操作イメージができるようにした。
説明の大切な文字を赤色にした。
合成の効果を分かりやすく表示した。
イラストをのせて楽しい感じにした。
 
など 
北川氏の講評
プレゼンテーターとなった子ども達は、緊張しながらもテキパキとプレゼンテーションを進めていきました。そしてプレゼンテーション終了後、北川氏に講評していただきました。
まず最初に、子ども達のプレゼンテーションについて、「みんなアドビの社員に負けないぐらい、プレゼンテーション上手でした。」と講評されました。でも肝心のパンフレット案については、「今日の段階で、採用という作品はありません!」と子ども達に告げられました。その瞬間、子ども達の顔にはあきらかに落胆の表情が浮かびました。北川氏はパンフレットの評価基準として、次のような話をされました。
何に使えるソフトなのか一目で理解できる
まず最初にどんなソフトかが読者に伝わらないと、最後までパンフレットを読んでもらえない。
特徴的な機能が何かがよくわかる
読者に特徴的な機能をわからせて、買いたくさせることが必要。
いかに簡単に使えるかが伝わる
ソフトを売る側は、「このソフトは使いにくいですよ!」とは絶対言わない。だからただ単に「簡単!」と書いただけでは、読者は信じてくれない。簡単だということを、読者に納得させる工夫が必要。
このソフトを使って行う授業がイメージできる
消費者は物を買う前に、自分がそれを使っている場面を必ず想像する。今回のパンフレットターゲットは、学校の先生。その先生に「このソフトならこんな授業ができる!」と想像させて、「じゃ、欲しい」と思わせなければいけない。
読者の目がどのように紙面を動くのか
読者の目が最初にどこにいくかを考えてレイアウトする。それが出来ていないと、読者はどこを見ていいかわからないから、パンフレットを見るのをやめてしまう。読者の目が紙面をどう動いていくかを頭において作ることが大切。
読んだ後の印象は?
何を伝えたいパンフレットかが、読者にすっきりと伝わらないといけない。
次の行動として読者に何を促しているか
読んだあとに、次にどうして欲しいのかが読者に伝わらないといけない。
これらの観点から、北川氏は各班の作品を見せながら、どこがダメだったのかを次のように批評されました 
読者がどこから見ていいかわかりにくいレイアウトになっている。
文字加工の説明からスタートするとワープロソフトのような印象を与えてしまうので、画像についての説明から入ってほしい。
同じ事を何度も伝えていて、むだが多い。4ページという限られた紙面なので、伝えたいことをしぼらなければいけない。
コンピュータ画面をただ置いておくだけでは説明不足で不親切。
「他のソフトでは味わえない!」「いろいろな」「ラクラク」という表現は具体性に欠ける。「簡単!」だけでは伝わらないのと同じ。
見出しによるグループ分けが不十分でわかりにくい。見出しとその中身は内容がずれないようにしなければいけない。
そして最後に「サンプル作品は大変よくできています。あとはそれをうまく使って、パンフレットの校正をもう一度練り直してください。」と要望して締めくくられました。
 
審査後すぐ修正作業  
緊張のプレゼンテーション終了後のダメ出しに、どの子もぐったり疲れ果てている様子でした。でもここでくじけるわけにはいきません。このあと時間がまだ残っていたので、指摘された部分の修正作業に入りました。北川氏に直接アドバイスをもらいながら、コンピュータで修正するグループもありました。
ここから子ども達の新たな苦難が始まりました。
 
担任のつぶやき
このプレゼンテーションの準備は,はっきり言って大変なものでした。まず,子ども達には,「自分の作品をうりこむ。」ということがよく理解できなかったのです。自分たちの作ったものについて,「こうやって,ああやって,そして,こんなふうにできあがりました。」と,説明することは,今までの経験上,難しいことではありません。けれども,プレゼンテーションの場合,自分がなぜそのように作り上げたのかを,相手に分かるように,しかも,相手にうりこまなければならないのです。これは,子ども達には経験のないことでした。
まず,子ども達のプレゼン用原稿を見て,わたしは頭を抱えました。
(あかん・・・,これでは,全くプレゼンにならない・・・。)
すっと血の気が引く思いでした。なぜなら,2日後に北川さんと中川先生が来られることになっていたからです。(間に合うか!?)そこで,まず,子ども達の書いた原稿のなかで,プレゼンとして通用するものをもとに,子ども達と練り直しをしました。子ども達は,最初なぜ直さなければならないのかが,わからないようでしたが,お手本となる友達の原稿を見て,少し納得したようでした。つばさくんが言いました。
「そうか,自分の作品を自慢すればいいんやな。」
(そうそう!!そうか,最初からそう言ってあげればよかったのか・・・。)
こんなふうにして,青息
 
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