記録に写真を
4年生の理科では身の回りの自然の変化を1年間継続観察する学習があります。ふつう観察記録は絵と文字で様子を表します。とても上手に表現する子どももいますが、「絵がうまくかけない」、「文章を書くのが苦手だ」という子は学習意欲が始めからもてません。そこで「写真も入れてみたら」という提案をしてみました。「でも、お金がかかるよ」とすぐ返事が返ってきました。「デジカメでやったら?」というとすぐ納得して、さっそく撮影に行くことになりました。
デジタルカメラの操作法を紹介し、一つだけ条件を言いました。それは記録をする場合、『写真だけに頼らないこと』でした。安易な方法ですまそうとしてほしくなかったからです。
カメラマン出動
子どもたちはグループごとに意気揚々と出発していきました。撮影したのは自分が調べたかったものとお互いに自分たちの姿を写したものでした。
しばらくすると教室に戻ってきて、写り具合をモニター用テレビで確認していました。中には40枚以上とってきた子もいました。思ったより簡単に撮影できて、おもしろかったという感想を口々に言っていました。
写ってないよ
いよいよ確認。「あれ〜っ、映ってないじゃん」「ぼやけてるよ」ほとんどの子どもたちが騒いでいました。そこでそうなった原因として考えられることを説明しました。撮影時の姿勢、カメラの持ち方、対象との距離などです。
説明が終わると、さっそく「もう一度やっていい?」の連発です。同意するとまた勇んで出発していきました。
後で聞いた話ですがもう一つ失敗がありました。なんと、デジタルカメラのストラップを持ってグルグル振り回していたというのです。後日その話を知らせ、どうすればいいか確認しました。
腕があがった?!
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デジカメ利用については『印刷に時間がかかる』『失敗の影響』などから、その後の希望者が一時激減しました。でもコンピュータ操作に慣れることを目的として、コンピュータを使った作品づくりを行いました。その際は再び利用者が増えました。前回の失敗を意識して動きは慎重でした。撮りたいものをはっきりさせようとする意識も強く出ていました。できあがった作品には撮った写真がうまく生かされていました。
生き物のくらしについての1年間のまとめを作る時期がきました。自分から利用したいと申し出てきた子にデジタルカメラを貸し出しました。今までに経験した技法を使い印刷まですべて自分たちで活動していました。
できあがった作品を見て驚きました。なんと難しい撮影ポイントもばっちり写っていたのです。池の底の様子、重なり合った枝の先にある芽の様子などです。
思う存分撮影できること、自分なりに工夫する体験が持てること、がんばり通せる状態があること。こうした環境の中で名カメラマンが生まれ始めています。 |