テレビ会議は文字通りインターネットや電話回線を利用したリアルタイム映像、音声のやりとりだ。もちろん、良い点も欠点もある。
良い点としては...
1)低学年の子どもたちでもコミュニケーションがとれる
テレビ電話は、文字入力の心配なしに交流が手軽にできる。相手の様子がわかることで、文字の説明も必要なくなる。話言葉や歌などによってやりとりができるテレビ電話は、小さな子どもたちにもインターネットでの交流を可能にした、とも言えるだろう。
2)顔が見えることで相手への興味や親近感が増す
相手の顔が見えることは相手に対する興味関心も増し、メールでのやりとりと組みあわせることで交流に深まりもでてくる。
3)相手にわかりやすく伝えることについてふりかえる機会になる
どうやったら自分(達)の思いがうまく伝わるのか、なぜ言いたいことが伝わらなかったのか、テレビ電話での会議終了後にクラスで話しあう場をもつと、子どもたちにとっては大事な学びになるはずだ。文字ベースのやりとりであるメール交換とはまたちがった意味で「伝える難しさ」があるが、それをうまく子どもたちの学びにつなげることもできる。
このように、肩ひじはらずに遠くの相手との日常的な交流の手段として、テレビ会議は有効である。
反面、考慮すべき点もある。
1)話しあう視点をしぼらないと何をやっているのかわからなくなる
先に、小学校の低学年でもコミュニケーションがとれる、と書いたが、やりとりそのものはできるものの、議論を深めるのは案外難しい。議論を深めようとするなら、話しあう視点をしぼり、司会役をきちんとたてるなどの工夫が必要になる。
2)リアルタイムである難しさ
メールは送ったからと言って、すぐに相手が読んでくれる場合は少ない。しかし、このことは逆に、こちらの都合に合わせて発信し、あとは相手の都合にまかせられるという利点でもある。テレビ電話はリアルタイムだ。つまり、相手もこちらもやり取りをする時は、電話のように時間を合わせなければいけなくなる。これがけっこう大変な場合が多い。地域によっては、学習時間がうまく重ならないこともあるし、外国の学校と行う場合は時差の問題も発生する。
3)切実感がないと「ただ参加しているだけ」になる
メールを出したり、掲示板などに参加したりするときには、自分自身がコンピュータに考えを打ち込むと言う能動的な参加のしかたであるけれども、テレビ会議の場合は、司会や意見を言う子どもたち以外は、その場にいる状態になる。その子どもたちに課題意識がないと、クラス全体の問題としてなかなか学びを深めるところまでいかない場合が多い。
テレビ会議の良いところや問題点を書いてきたが、テレビ会議だけでなく、電話やFax、電子メールや掲示板、ビデオレター、手紙(郵便)や宅配便など、それぞれの良さを生かして、時と場合、相手に応じて「選択」や「組みあわせ」を考えることが重要だ。情報教育という観点で考えてみても、そのような選択や組み合わせを子どもたちが場合に応じて考えられる力をつけていきたいものだ。 |