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キーワードで読む情報教育 19
ポートフォリオ
〜ポートフォリオだけが評価法ではない〜
レポート1
押し入れの紙ばさみ
中谷佳子
(石川県 金沢市立鞍月小学校)
中谷佳子
「ポートフォリオって何?横文字ならべられてもわからんわ・・・」

新学期の最初の校内研究会で出てきた言葉に反応し、隣の先生がつぶやいていた。1年前だったら、そう、私も同じことを言っていたと思います。『ポートフォリオ』は、まだまだ一般的になってない用語だったと改めて気づきました。

いろいろな資料から次のように理解しました。「ポートフォリオとは・・・デザイナーや写真家が自分の作品や、完成までに使った資料やコンセプト等々を挟んで保存しておく紙ばさみのことである。現在、学校現場では、総合的な学習を中心に取り入れられてきており、学習過程の中で生まれる様々な成果物を目的を持って、バインダーやフォルダ、ノートなどに時系列に収集したものである。」じゃあ、今までの学習ファイルとなんだ代わり映えしないじゃないの、とも思いましたが、いえいえそうではありません。ポートフォリオはふり返り、自己評価を繰り返し、最終的には子どもたちのメタ認知を促すための学習方法そのものであり、また、ポートフォリオ評価と呼ばれる評価法の1つでもあるのです。

私自身は小学校の図工専科であり、図工の学習の中で日頃から、しっかりした学びを子どもたちに身につけさせたいと考えていましたのです。ここで、ぴったりのものを発見したのです。しかし、理論的に述べられていることと実際にあうかは疑問でしたが、昨年度、実験授業に取り組んで見て、「結構いいじゃん。」と思ったわけです。

子どもたちの活動の様子

では、今年はバージョンアップだね。そうです。ポートフォリオからデジタルポートフォリオへと進化させてみることもできるのです。

デジタルのよいところをあげてみると、
1:場所をとらない。
2:情報を他の人と共有したり、意見交換することができる。
3:長期に渡り保存可能である。

などがあげられるでしょうか。そう言われると、「よいよい。やってみよう!」単純な私は実行に移す決心を即座にしてしまったのです。しかしよく考えてみると、問題も見えてきました。子どもたちにある程度のパソコンや周辺機器使用に関してのスキルが伴わなくてはなりません。それから、校内のパソコンの環境整備がなされていないと実践には移せません。「うちの学校は大丈夫かな?」心配は尽きませんが実行あるのみです。

しかし、美術教師としてはアナログも捨てがたく、「実際に作品があってこそ作品の価値があるんじゃないか。コンパクトにして電子の箱に詰め込んでしまっても、いいんだろうか?」と自分自身に問いかけています。しかしこれからは、時代は変わっていくんだから、受け止めて行かなくては・・・と思うこの頃です。

先日、押し入れの中を整頓していると、高校時代の美術の作品を入れてある紙ばさみを発見しました。高校時代と言えば、かれこれ、ん十年前。「懐かしいなあ、どれどれ。」ふと、その紙ばさみに書いてある文字を読む。「Portfolios。え〜っ!」私は、ずーっと前からポートフォリオを知らず知らずのうちに持っていたのです。その中の作品を、見ると当時を思い出します。どこで描いていたか、あの時のシチュエーションが、ついこの間のことのように思い浮かんできました。少なからず、そのポートフォリオに詰まっていた作品や資料は今の私に影響を与えてくれていると信じています。

ポートフォリオは、これから一般化していくかどうかはわかりませんが、メリットを利用し、デメリットを改善していき、子どもたちの実態にあった、学びのサポーターにしていければいいな、と思うこの頃です。
 

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