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キーワードで読む情報教育 25
コンピュータルーム
中川一史のキーワードへの道案内
今やどこの学校にもコンピュータルームらしきものは存在する。名前も場所の広さもさまざまだが、それでもコンピュータがいっぱいある部屋は存在する。しかし、実際に子どもたちに使われているのだろうか?子どもたちが使える状態になっているのだろうか?

授業以外でも触れる機会を
普段はカギのかかっているコンピュータル−ムを、ある決まった授業時間内のみ使用する。もちろん、子どもたちが好むと好まざるとに関わらず、である。しかも、「言われたキ−しか触ってはいけない」「決まった時間にしか触れてはいけない」「先生が用意をした○○のソフトの××の部分しかやってはいけない」のないないづくしだ。子どもたちは教師が何を望んでいるのか、何を望んでいないのか、に敏感だ。このような関わりを続けていればおのずと「暗黙の規制」がかかるだろう。

もっと自由に子どもたちがコンピュータと関わる時間を保証できないのだろうか?目新しさがとれない中で本当に子どもたちにとって表現の道具になりえるのだろうか?

壊れたら直せばいい
「あなたはそう言うけど、そうやって高価なコンピュータが故障したらどうするんだ?」と、言われるかもしれない。しかし、「壊れたら直せばいい」のではないか?いたずらに壊すことは、たしかにいけないが、故障することをおそれ、大事に飾っておいても意味はない。道具は使ってなんぼのものではないだろうか?特に管理職にはこのへんの発想の転換をしてほしいものだ。そうなると、情報主任のやるべき仕事は修理費をいかに事務主査から確保するか、ということになる。

One of themのコンピュータ
いろいろと述べてきたが、何より大事なことはパソコンを特別視しないことだと思う。普段「さりげなく」コンピュータがあると、「使いたいときに」「使いたい子どもたちが」「使いたいように」使うようになっていく。中でも「使いたい子どもたちが」というところがポイントだ。発表の時にビデオでやる子もいれば、模造紙を選ぶ子もいる、パソコンでやる子もいる…そんなone of themで良いのではないだろうか?「みんなでパソコンを使いましょう!」と、肩肘はる必要は何もないのだ。

できることなら、コンピュータルームにあるうちの一部でも分散的に置くことはできないだろうか?台数が少なくても、子どもたちがすぐに触れることのできる場所にあったら、「ちょっとした場面」で使うようになるかもしれない。

コンピュータルームのワーキングスペース化、図書室のメディアルーム化
コンピュータルーム以外にコンピュータを分散的に配置できないなら、コンピュータルームについて考え直したい。「コンピュータルームはコンピュータを使う場所」ではあるが、特に総合的な学習などではそれだけで学習は終わらない場合が多い。すぐにグループで相談ができたり、ノートにまとめたりすることができるスペースがあれば、わざわざ教室に戻らなくても良い。

同様のことは、図書室にも言える。「図書室は本を読むところ」という発想から脱して、コンピュータを置き、マルチメディア図鑑のCD-ROMを置いたり、インターネットに接続したりして、子どもたちがさまざまな方法で資料が得られるような環境作りを考えたい。

「コンピュータはこの授業でどのような効果をもたらすか?」という短期的な課題を考えることも大事だが、子どもたちの学びが広がる場の保証というような長期的な課題についても、学校ぐるみで取り組んでいきたい。
中川一史(なかがわひとし)金沢大学教育学部教育実践総合センター助教授
レポート1
コンピュータで学校ギネス 坂上則子(石川県 金沢市立扇台小学校)
レポート2
机は歴史を刻む 〜コンピュータルームのレイアウトあれこれ〜 
池田 明
(大阪府 大阪市立扇町総合高等学校)
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