商業高校をはじめとする専門学科の高等学校では、まだパンチカードで入力し、紙テープで出力していた時代から、授業でコンピュータを使う実習を行ってきました。これにともなって、当然の事ながら生徒が利用するためのコンピュータルームも古くから存在したわけです。私自身も、商業科の教員として、10年以上前からコンピュータ実習を伴う授業をいろいろと担当してきました。数年前くらいまでは、学校が保有できるコンピュータの台数も大した数ではありませんでしたし、校内すべての教室がLANで結ばれるなんていう夢物語が実現するなんて考えられなかったので、ごく一部の特殊な例を除いて、生徒用のコンピュータは1つの教室にまとめて押し込められて運用されてきました。ただし、以前は、コンピュータルームや、コンピュータ実習室というような呼び方は一般的でなく、電子計算機実習室という類の、難しい名前をつけられていたものが多かったと思います。
コンピュータを学校に導入する、あるいは、コンピュータを機種更新するということは、学校にとっては大きな出来事になります。したがって、コンピュータルームに関して、現場の教員の意見も少なからず反映されることが多いように思います。授業の展開を思いめぐらせながら、その現場となるコンピュータルームについて、ああでもない、こうでもないと試行錯誤することは、教師冥利につきる楽しい作業です。ただ、現実的には、「今度コンピュータが来るから、コンピュータの運用方法と、コンピュータルームのレイアウトを考えてね」なんてことを突然申し渡されて、考える時間が無くてどうしようと困ってしまった経験も何度かしました。
さて、このコンピュータルームのレイアウトについて考えるときに、意外と問題になるのが、机についてでした。昔に比べると、日本の学校で一般の教室に使われる机のサイズも、やや大きくなったようですが、それでもコンピュータルームで授業の時にコンピュータを置くための机となると、普通に教室で使っている机を流用するわけにはいきません。いろんなケーブルやコードの類、キーボードやマウスこういうマシンまわりのスペースを確保しなければなりません。家庭で使うコンピュータであれば、部屋の隅に、縦置き型の専用デスクを買ってきて配置すれば済むというところですが、教室となると単に配置するだけでなく、生徒や先生が移動する際に邪魔にならないことも考えなければなりません。また、授業ではほとんどの場合、教科書や副教材やプリントなどを使うのでこれを置くスペースも必要です。 |