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キーワードで読む情報教育 25
コンピュータルーム
レポート2
机は歴史を刻む 〜コンピュータルームのレイアウトあれこれ〜
池田 明
(大阪府 大阪市立扇町総合高等学校)
池田 明先生
商業高校をはじめとする専門学科の高等学校では、まだパンチカードで入力し、紙テープで出力していた時代から、授業でコンピュータを使う実習を行ってきました。これにともなって、当然の事ながら生徒が利用するためのコンピュータルームも古くから存在したわけです。私自身も、商業科の教員として、10年以上前からコンピュータ実習を伴う授業をいろいろと担当してきました。数年前くらいまでは、学校が保有できるコンピュータの台数も大した数ではありませんでしたし、校内すべての教室がLANで結ばれるなんていう夢物語が実現するなんて考えられなかったので、ごく一部の特殊な例を除いて、生徒用のコンピュータは1つの教室にまとめて押し込められて運用されてきました。ただし、以前は、コンピュータルームや、コンピュータ実習室というような呼び方は一般的でなく、電子計算機実習室という類の、難しい名前をつけられていたものが多かったと思います。

コンピュータを学校に導入する、あるいは、コンピュータを機種更新するということは、学校にとっては大きな出来事になります。したがって、コンピュータルームに関して、現場の教員の意見も少なからず反映されることが多いように思います。授業の展開を思いめぐらせながら、その現場となるコンピュータルームについて、ああでもない、こうでもないと試行錯誤することは、教師冥利につきる楽しい作業です。ただ、現実的には、「今度コンピュータが来るから、コンピュータの運用方法と、コンピュータルームのレイアウトを考えてね」なんてことを突然申し渡されて、考える時間が無くてどうしようと困ってしまった経験も何度かしました。

さて、このコンピュータルームのレイアウトについて考えるときに、意外と問題になるのが、机についてでした。昔に比べると、日本の学校で一般の教室に使われる机のサイズも、やや大きくなったようですが、それでもコンピュータルームで授業の時にコンピュータを置くための机となると、普通に教室で使っている机を流用するわけにはいきません。いろんなケーブルやコードの類、キーボードやマウスこういうマシンまわりのスペースを確保しなければなりません。家庭で使うコンピュータであれば、部屋の隅に、縦置き型の専用デスクを買ってきて配置すれば済むというところですが、教室となると単に配置するだけでなく、生徒や先生が移動する際に邪魔にならないことも考えなければなりません。また、授業ではほとんどの場合、教科書や副教材やプリントなどを使うのでこれを置くスペースも必要です。
写真1 写真2
さらに、机について考えるときの最大の問題はディスプレイをどうするかということです。普通に机の上にちょんと置けば、【写真1】のような感じで先生と生徒の間の視線を遮るようになります。多くの場合、この点はやむえず我慢しているのが現状です。あるいは、横並びにするとか、机を丸形か多角形型に組んでぐるりと取り囲む形で数人ずつ座らせるとか、机の並びを工夫している例もわりと多く見られるようになってきました。ただ、どういうレイアウトにしても、一長一短はあります。私の知る限りで、このディスプレイの問題を、最もスマートに解決したのは、【写真2】の例です。これは、ディスプレイを机に半分埋めた形になるもので、傾斜沈設といわれています。このようにディスプレイを机に沈めてしまえば、視線の問題はほぼ解決します。また、必然的に目とディスプレイの距離を一定以上に保つことにもなり一石二鳥です。良いことずくめのようですが、2つ問題があります。1つは、価格が割高になってしまうこと、もうひとつは、ディスプレイのサイズが限定されてしまうことです。さらに、この机で5年間使ったコンピュータシステムを更新したときに驚いたのは、斜めに置いていたディプレイの背面が、長年の重みと熱で溶けて変形していたことでした。たかがコンピュータルームの机一つをとってみても、日本の学校では新しい情報教育に対応するために、意識も新しくしていかなければならないということでしょうか。
 

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