中川:効果的なプレゼンのためには、子どもたちがリアクションを返せる状況をいかに設定できるかが大きな鍵を握っていますね。その点についていかがでしょうか。
佐和:技能を身に付けることを中心に作らせると、それで満足してしまうので、作ったものを発表する場を確保しないといけないですね。ですから、個人的に作ったものでも皆の前で発表する場を作ります。
今の上草さんの話で耳が痛いんですが、「わからないはずがない」という教師に育てられた子どもは「言えばいいんだ」という発表に終わってしまいがちです。「伝えたいことが相手に伝わっているかを知りたい」と考える子を育てないといけないのですが……。
豊田:中学生の場合は、小学生より皆の前で発表するのを嫌がるんです。でも少人数ならスムーズにできるので、まず、5〜6人のグループ内でプレゼンして、そのなかの4人に評価してもらう。それを改善し、クラスで発表します。さらによくできたものを上にのぼらせるというように三段階を踏んでいます。また、発表の際は各グループに指導者が一人つきます。そのための時間と機材や指導者の確保が大変ですが、これはプレゼン講座だからできるのでしょう。
佐和:「総合的な学習の時間」でグループや個人で発表するとき、発表の手段を選択する形が多くなってきていますね。ただし、皆がプレゼンソフトを使うかというとそうでもありません。グループで冊子にまとめたり、紙芝居、ビデオを見せるなどのいろいろな手段があります。いろいろなメディアを選択させたときには、各メディアを使ったことについて「新聞だからじっくり読めた」「プレゼンの音が効果的」「紙芝居の絵はかわいいけど小さい」など伝わり方についても考えさせるようにしています。
選択できるのはいいけれど、子どもたちはきちんと基準を持って選択しているのか。メディアの特性を考えて選択させるようにしていかないといけません。
中川:グループで人数を区切る、時間を区切るというように、区切ることで力を付ける手立てを講じていることがわかりました。 |