佐和:環境を整えれば教師の意識は確実に変わります。しかし、環境は整っても校内研修だけでは教師がすぐ使えないという現状もあります。
だから、これからはもっと、人と物がうまく配置されていかなくてはいけないと思うんです。図書館司書のように、コンピュータの使い勝手をハードとソフトの両面でコーディネートする人がいないから、壊れたらそれっきりになってしまう。教師や学校が困ったときに対応できるコーディネーターが1人配置してあれば使う率が多くなるし、有効に機能すると思いますね。
豊田:例えば、技術バックアップとしての行政機関があったり、現場の教員の再研修施設として大学をリニューアルするなどの仕組みをつくる必要がありますね。
上草:沖縄の浦添市が大学と一緒になって、地域ボランティアとして琉球大学の学生や保護者たちが、手作りで校内LANを組んだんですね。この例は、学校は地域コミュニティの一つだと大変意識させられ、このケースはおもしろい、これからの教育のあり方の一つだと感じました。
佐和:柏市もまさにそうです。NPO柏インターネットユニオンという組織があり、麗澤大学の学生が市内の校内LAN構築をボランティアで行ってくれます。またその中の留学生とテレビ会議を使った授業なども組んでいるんです。そういう形で輪が広がるというのはすばらしいことだと実感しています。
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千葉県柏市立旭東小学校 |
豊田:情報の実践を行っている学生をスクールボランティアで学校に呼び入れ、情報機器活用の経験が少ない教師と組めば、深くて広い授業ができますよね。一方、その教師は逆に大学に行って学んでくると、自信を付けてくる可能性があります。あるいは学校を開いて、情報のゼミ生が日常的に来るならそれを認めて、一緒にやっていく方法もありますね。
中川:私の大学ではそれを実践し、小・中学校で授業をやるときはゼミ生だけでなく周囲に声をかけています。学生からみれば、実際の授業に参加することでスキルや問題意識も高くなり、教師も授業を説明したり、プレゼンしたりする緊張感を得ますので、両方にとってプラスになります。そういう場がもっと増えていくと良いですね。
以上を考えると、授業観や教育観や地域コミュニティのあり方にまで連携していることがわかりました。それからプレゼンだけが独立しているわけではなくコミュニケーションと対になって考えていかないといけないということを次回につなげていきたいと思います。本日はありがとうございました。 |