しかし、考えてみるとこれは誰もが通る道なのです。何か文字を打つと、つながっている他のパソコンの画面にリアルタイムで文字が出るというのはとても不思議でおもしろいことなので、好奇心旺盛な子どもたちにとっては「当然」の行為といえます。それに顔が見えないので匿名性の「楽しさ」もあるのです。
ローマ字入力を習いたての時は、何か打ってみたいと思うはずです。しかし、なかなか思うように文字が打てません。手っ取り早く、めちゃくちゃにキーボードを打って、まずは反応を見たいのです。でたらめな文字「;rkgv@mう゛ぁ」でもいいから出してみたいと思うのです。そしてこれを他のパソコンへ送信する。すると当然オンライン上のパソコンに表示されるため、そのパソコンから苦情の「返事」がきます。次にやるのは「バカ」「アホ」などの悪口の類の交信です。単語が短いせいか打ちやすいのかどんどん出てきます。誰が打っているかわからないから、他の人の名前をかたる場合も出てきます。
ここで当然「指導」の必要性が出てきます。そのような使い方をした子どもをつきとめて個別に呼んで話をすることも大事ですが、打った人の気持ちや、もらった人の気持ちをクラス全員で考える必要があります。学校はおおいに失敗していいところです。特に外部から閉じられたネットワークの場合は、まずやってみて、問題が起こったときにみんなで考えて行くことが大事だと思います。
この場合その話し合いの中で、顔を見て会話の流れの上で言う「バカ」と、文字だけで書かれた「バカ」では、受ける印象が違うという点や、もっとつっこんでその子は、「悪口」を書くことで、関わりを求めているのではないかという意見までも出ました。この話し合いのあと、全くではありませんがこのようなことはあまりなくなりました。
今回はチャットでの話でしたが、相手が、全然知らない人か、知っている人かによっても文章の書き方や受ける印象が違うと言うことや、ネットワークを使った文字だけのコミュニケーションの怖さも少しはわかったようでした。
ネチケット(ネットワーク上のエチケット)は観念的に教えるのではなく、実際に体験して、様々な失敗を通して学んで行く中で、身についていくものだと思っています。 |