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キーワードで読む情報教育 9
インターネットで自由研究
レポート1
生活と学習をくっつける「インターネットのり」
安冨直樹
(神奈川県 横浜市立神大寺小学校)
学習することは楽しいはずなのに、なんだか学習させられているという気持ちの方が強く、いやだなあと思いながらもやっていることがあります。なぜ、そのような気持ちになるのかと言えば、それは、自分で調べたという喜びがなく、生活からも遠いからです。

その喜びを味わえる一つの手段が、「インターネットを活用した自由研究」です。

まずは、すべての情報が正しいというわけではないことを伝えておきます。すると、インターネットから集めた情報が本当のことなのかと検証するようになります。この検証が、興味関心の「のりしろ」を広げていきます。そして、その「のりしろ」をくっつけるものが、「インターネットのり」です。この「のり」は、生活の中にある経験の「のりしろ」と学習の中にある不思議の「のりしろ」をうまくくっつけてくれる役割を果たします。

日本の年中行事には、いろいろなものがあります。その由来については知らないものも多く、調べてみると、そこに昔から伝わってきた人々の願いが込められていて、「なるほど」と納得させられます。このように知っているようでよく知らないものを取り上げ、自由研究として取り組んだ例を紹介します。

いちばん好きな行事である「お正月」のことを、子どもたちは調べてきました。「なぜ、お正月に雑煮を食べるのか?」「しめ飾りには、どのような意味があるのか?」など、子どもたちは不思議に思うことを、どんどん書き出しました。

いよいよ検索です。そのときの注意も、事前に指導しておきました。キーワードを打ち込むときに、「雑煮」とただ入れるだけではなく、「お正月 雑煮」など関連ある言葉を区切って入れていくと速く調べられることや1時間調べて見つからなければ、いさぎよくあきらめることなどは、学習の中で繰り返し伝えておきます。

そして、自分の解決したい問題と関係のあるページが見つかれば、うれしくなります。それをすぐに印刷します。印刷すれば安心します。もう研究が終わってしまったかのようです。しかし、ここでやっと考えていくための材料がそろっただけなので、これを生活や学習と「つなげていく作業」が大切なのです。インターネットにより、問題をひらいて、広げていっただけなので、これをつなげていくところが自由研究の醍醐味なのです。それを知らずして、自由研究とは言えません。

本物に出会うための旅に今度は出かけます。飾られている「門松」の写真を撮影し、さわってみる。昔の「凧」を持ってきて、その仕組みを分析してみる。「門松は日本だけなのかな。外国では何を飾っているのかな。」「いろいろな形があるけれど、それぞれの凧にどのような意味が込められているのかな。」など、「インターネットのり」が次の活躍の場を求め、また広がっていきます。

教師はインターネットで検索して、まとめていくことを、安易に調べ学習ができる方法と思い込むのではなく、そこから次につながっていく「のりしろ」が広がってきた、これから始まるんだと思い、子どもたちの活動を見守っていきたいものです。

5年生の冬休みに、「注連飾り」のことを調べてきた子どもが、6年生の歴史学習で、日本文化のことについてより興味関心を広げ調べていったこともありました。コンピュータで絵を描きながら、「おせち料理の中身の意味がよく分からないよ。何が入っているのかもっと調べたい。」と、6年生の冬も「おせち料理」のことを継続して調べてきました。

自由研究の中で本物に戻って、また分からないことをインターネットで調べていくという繰り返しが、しっかりと自分の認識を深め、物事の見方・考え方を広げていってくれます。いろいろなところで、生活と学習をつなげてくれる「インターネットのり」を活用したいものです。
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